民主の重鎮として14選を目指すベテランの渡部恒三氏と、前回選挙に初出馬し、比例復活ながら会津に自民の議席を取り戻した渡部篤氏との2度目の一騎打ちの構図に、元県議の小熊慎司氏らが割り込み、4人による戦いに急展開した。
会津地方は、経済悪化が基幹産業の半導体産業を直撃、企業の事業縮小などで離職者が増え、有権者の投票行動が読みにくい状況。さらに恒三、篤の両陣営に支持層がまたがる小熊氏の出馬で混迷を深め、支持層は流動化している。各陣営は支持固めと無党派層への浸透にしのぎを削っている。
2大政党による政権交代の実現をスローガンに政治活動を続けてきた渡部恒三氏。18日の後援会事務所開きでは「会津のため、日本のため命がけで働く」と決意を示した。「平成の黄門さま」として知名度を誇り、党公認候補の応援のため全国を飛び回る予定で留守がちになりそう。陣営幹部は今回の衆院選を「渡部恒三の政治の集大成」と位置づけ、「恒三党」と称される組織をフル稼働させる考えだ。8月18日の公示までに旧市町村ごとの後援会を巡り支持固めを進める。
渡部篤氏は、国政報告会などでこまめに会津全域を巡り実戦に備えてきた。街頭演説では、自公政権が推進した経済危機対策や行財政改革を挙げ「国難を乗り切る政党は自民党しかない」と、気迫のこもった口調で実績をアピールする。同じ自民系の小熊氏の出馬、都議選での敗退と、自民への逆風に危機感を持つが、陣営幹部は「会津の自民は苦しい戦いを続けてきた。逆風に動じず自民現職として戦い抜く」と、4年間で拡充した後援会組織を軸に自民系勢力の結集を図る。
小熊氏は「新しい会津、新しい日本を作る」「会津の世代交代」とアピール。自民党を離党した渡辺喜美元行革担当相の新党構想への合流も表明し、地域の変革を望む若い世代の取り込みを図る。活動の中心になる世話人づくりに全力を挙げるが、陣営は「全会津に広がっている」と、初挑戦の手応えを感じている。
諸派の幸福実現の鈴木規雄氏は、街宣活動などで支持拡大を図る。
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