過去3回の衆院選で自民の坂本剛二、吉野正芳両氏が交互に比例と小選挙区に立候補するコスタリカ方式で民主の吉田泉氏を抑えてきたが、今回は自民がコスタリカを解消、坂本、吉田両氏の事実上の一騎打ちの様相だ。
「待ってましたという感じ。政権党として景気対策の成果を訴える」。6年ぶりとなる小選挙区での戦いに臨む坂本氏は23日、訪問したいわき市の企業で、麻生内閣が取り組む経済対策の実績を強調、自民の政権担当能力の高さを訴えた。
コスタリカ解消で3区に転出する吉野氏の後援会は既に、3区内で吉野氏の支持固めに奔走。これまで自民の勝利を積み重ねてきた協力態勢を再び確立できるかが鍵を握りそうだ。
坂本陣営は「剛二党」とも言われ、過去の激戦を勝ち抜いた後援会を再構築、基盤固めと新たな支持の掘り起こしを進めた。さらに独自のローカルマニフェストを検討、態勢強化した組織を軸に支持拡大を図る。選対本部長の円谷裕一氏は「地道に政策を訴える」と陣営の底力に期待をかける。
坂本、吉野両陣営を相手に苦杯をなめ、比例で2回連続で復活当選してきた民主の吉田氏にとっては、悲願の小選挙区勝利がかかる。吉田氏は手応えを感じながらも「あくまで挑戦者。ようやく相手の背中が見えてきた段階」と、直前情勢を冷静に分析する。
解散直後から地元に戻り、23日は支援団体を精力的に巡って「政権交代」への支援を求めた。8月30日投票までの長丁場の選挙戦を意識しながら組織固めに力を入れる。これまでに前回5区に候補者を擁立した国民新党から推薦を得た。解散直前に同市で開いた集会では郵便局関係者らの姿も見られ、新たな支援が加わったことを示した。共産も今回は候補者擁立を見送っており、幅広く得票が期待できる情勢で一層の票の上積みに取り組む。
いわき市では衆院選後の9月6日告示―13日投開票で市長選が行われる。
今月に入り、自民坂本陣営の選対本部長に就いていた県議の渡辺敬夫氏が市長選への出馬を表明、自民県議から転出した現職の櫛田一男氏との一騎打ちが濃厚だ。自民系市議の分裂は必至。坂本陣営は「県議、市議には一丸で衆院選に臨むよう指示した」と勢力結集に腐心している。
市長選は吉田氏の陣営にも波紋を広げている。民主県議の佐藤健一氏が縁戚関係にある渡辺氏の応援を理由に、吉田陣営の選対本部長を辞任した。選対関係者は「有権者にとっては誰が選対本部長でも関係ない」と、佐藤氏辞任が衆院選に波及しないと強調する。
諸派の幸福実現党の石渡剛氏は、同市内を中心に存在感をアピール、支持拡大を図っている。
|