「選挙戦で党組織が動かず、『(民主への)風が吹いた』とだけ、選挙を振り返ったのでは話にならない」。県議会の会派控室で10日に開かれた民主党県議団会議。緊急招集された党所属県議に対し団長の渡部譲が声を張り上げ、政権を懸けた戦いにそれぞれの後援会をフル稼働させるよう指示した。
県連は今回の衆院選で、県内全5小選挙区の完全勝利と、比例での50万票以上の得票を目標に掲げた。郵政選挙で大敗した前回の比例得票は約39万6000票にとどまっており、目標達成には大幅な上積みが必要となるが、「組織が山間部のすみずみにまで及んでいない」と県連内部から声が聞こえるほど、組織力の強化が積年の課題。克服のため県連は、
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政権を懸けた戦いに向けて、結束を誓った党県議団会議 |
渡部ら地方議員に加え、県選出の現職参院議員も実動部隊に巻き込み、各議員の個人票を積み重ねる戦略に打って出た。
これまでの衆院選では参院議員が県連選対本部長を務めるなど選挙戦を統括する立場にあったが、今回県連は、県議で幹事長の中村秀樹を本部長に据えた。参院議員の金子恵美を1区、同じ増子輝彦を2、5区の重点選挙区に張り付かせ、候補者との二人三脚による支持拡大に専念させる。
重点選挙区の陣営は「自民が強い地盤で、各議員の後援会と連携して地域に入り込んでいく動きは不可欠。1票でも票をつかみとる」と歓迎。金子、増子らを前面に立て選挙区内の弱点地域を巡る。
これらの活動を通して生活に密着した政策を打ち出した党のマニフェスト(政権公約)を訴える。同時に支持者となった人に他の選挙区の知人を紹介してもらう「全県紹介者カード」を渡し、新たな支持を掘り起こす運動を全県展開する。中村は「生活を変えてほしいという国民の意思は確実にある。変革を求める声にマニフェストで応え支持につなげる」と意気込む。
一方、最前線で前哨戦を展開する県議や市町村議員からは「組織力がある自民の底力は侮れない」との声が寄せられる。中村は県議会で会派を組む県民連合所属の無所属県議とともに約40の業界団体の本部を歩き、自民の支持基盤の切り崩しを図った。「実際の選挙対応は各団体で地方支部が決定することが多く、選挙区単位で支部に働き掛ける」と中村。「国民が声を上げて政治を変える歴史的選挙」と位置づけ、二重三重の戦術で立ち向かう。
(文中敬称略)
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