復進まぬ復興…失望に
経済優先で不満も増幅
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「4区で負け、1区も負けたようなもの。両選挙区がしっかりしていればこうはなっていない」。衆院選開票から一夜明けた15日、県議会の自民党控室で厳しい声が響いた。全国的には自民、公明両党が大勝したが、県内選挙区で自民は、接戦となった4区の前職が敗れ、1区でも民主新人の復活当選を許した。比例も含めると、公示前の6議席から4議席に減らす厳しい結果となった。「ようは緩みがあったというほかない」
自民は序盤から優位に選挙戦を展開する中で2、5区の前職2人は早々と「当確」が打たれたが、同様に前職を擁して戦いに臨んだはずの1、4区でなぜ苦戦したのか。県連会長の岩城光英(65)は、1区では昨年の参院選で敗れた女性候補への同情票があり、4区では元衆院副議長渡部恒三(82)による支援の動きが大きいと分析した。幹事長の杉山純一(57)は「思うように復興が進まない影響もあったのでは」と党政策への不満が背景にある可能性を示唆した。
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自民党県連の議員会議で衆院選を総括する杉山幹事長(中央)=15日午後、県庁 |
国政選挙で長く自民陣営の実務を務める党員の男性は「4区は自民への批判票を上手にまとめられた」とみる。今回、県内では、安倍晋三首相の経済対策の効果が地方に届いているのかと、復興政策の進め方が大きな争点となった。ただ会津地方では風評の影響が残り、主要産業の観光は震災以前に回復していない。雇用も停滞したままだ。
会津が選挙区の4区。当選した維新の党の小熊慎司(46)が「恒三票」を取り込み、得票を伸ばした一方、自民の菅家一郎(59)の得票は前回約7万票から約5万6000票に落ち込んだ。小熊は社民党からも得票したとみられ、自民への批判票の受け皿になった。
経済政策や原発再稼働が安倍政権の政策として前面に出て、県民は復興が後回しになる懸念を抱く。後退の要因を相手候補でなく自らに見いだすことが復権の第一歩になる。(敬称略)
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震災、原発事故後2度目となった衆院選。県内では自民が議席を減らし民主、維新は現有勢力を確保した。県民の審判を受けた県内各党の動きを追った。
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