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見えぬ制度の先行き
家計は歓迎も、継続に不安
子育てを社会全体で応援する仕組みとして、鳩山政権が打ち出した「子ども手当」の支給が全国一斉に6月から始まる。「(児童手当よりも)支給額が増えることは喜ばしいが、確固たる形が定まっていないのが不安」と福島市の会社員男性(26)。子ども手当は本年度限定のため制度の先行きが見通せず、複雑な表情を浮かべる。
子ども手当は0歳児から中学3年生までの子ども1人当たりに月額1万3000円が一律に支給される。鳩山首相は全額国庫負担を掲げたが、財源問題から断念。支給に当たっては、従来の児童手当制度を組み込み、市町村などの負担が継続された。
県の試算によると、県内の対象者は約28万7000人に上る見通しで、本年度1年間で総額450億円が支給される見込み。窓口となる県内の市町村は、申請を受け付けるなど支給手続きに追われている。
4月に中学校に入学した長女(12)と小学4年生の長男(10)がいる福島市の女性(40)は「中学生まで支給されるようになり、ありがたい」と胸をなで下ろす。女性の家庭では、子ども2人で2万6000円が支給される。中学生が対象外のこれまでの児童手当では、長男1人分の5000円の支給にとどまるところだった。
子どもが成長するにつれ学校の制服代や教材費などで出費が増えていく。女性は「『自分の子どもは自分の力で』とは思うが、働くにも働く場所がなく、できるだけ節約してやりくりするしかない」と厳しい台所事情の中で、子ども手当を「家計の手助けになる」と歓迎する。しかし、ニュースで国の財政が話題に上るたびに「いつまで続くかどうか。不安になる」という。
一方、高校生を持つ家庭への支援策として、授業料無償化の取り組みが4月から始まった。公立高の授業料が無料となったほか、私立高では、就学支援金を活用する形で原則月額1万円が支給され、負担軽減が図られた。低所得者には所得に応じてさらに支援が手厚くなる制度だが、「公立と私立との格差が課題」と指摘する声も出ている。
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