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実質的値上げに困惑
観光業界からは期待の声も
今年のゴールデンウイークは、前政権が経済対策で導入した高速道路料金の「休日上限1000円」が適用される最後の大型連休とみられることから、県内の高速道路は帰省や行楽客の車の交通量が増加、各地で渋滞の列ができた。
高速道路料金をめぐり、民主党が政権公約で示した「高速道路無料化」の社会実験に伴い国土交通省は新料金制度を設定、6月から平日、休日とも軽自動車1000円、普通車2000円、中型車と大型車5000円などの上限料金制が導入される予定を発表した。
新制度では、休日上限1000円や深夜・通勤時間帯など自動料金収受システム(ETC)搭載車限定の割引制度は廃止される。本年度は緩和措置が講じられるが「実質的に値上げになる」との指摘も。運送会社経営のいわき市の男性(58)は「無料化がいつの間にか値上げ。無料でなくても今より料金が少し安くなればと思っていたのに」と困惑。
男性の会社は1日30台程度、鉄骨材などを積んだトラックを首都圏に運行するが、「従業員の労働時間短縮のため」と高速道路を利用。料金割引がある深夜帯に利用するよう運行計画を工夫し、経費圧縮に努めてきた。それでも利用料は月100万円以上かかる。男性は「新制度が始まれば、経営が苦しくなる」と頭を悩ます。
県トラック協会は、6月から予定される新料金制度について、「割引制度の廃止で大幅な値上げになる」と反発。4月に民主党県連を通じ、トラック利用が値上げにならないよう党本部に要請した。
観光業界からは、新料金制度に期待の声が上がる。県によると、休日上限1000円導入後の昨年9月の連休中、県内各インターチェンジで入り込み数が増えたが、日帰り客が多くなり宿泊客が減少する状況がみられた。新料金では平日も上限料金になることで、減少傾向にある平日の宿泊客の増加が期待されるとして、県観光交流課は「ビジネスチャンスが広がる」と指摘する。
高速道路は地域経済への波及効果が大きいだけに、利用料金をめぐる政策への県民の関心も高い。
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