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大幅な権限移譲歓迎
求められる財源伴った改革
鳩山政権が「1丁目1番地」に掲げる地域主権改革。政府は「国と地方の関係を根本的に変える最重要の改革」と位置付け、できる限り市町村に権限を移譲する考えだ。
「行政は住民に最も身近な市町村が権限を持つべき」と話すのは、郡山市政策調整課長の山本邦雄さん。同市は住民ニーズに沿ったスピーディーな行政運営を目指しており、大幅な権限移譲は歓迎するところだ。
4月28日、「国と地方の協議の場」の設置や、国が法令で地方の行政運営を制約する「義務付け・枠付け」見直しなどの地域主権改革関連3法案が参院で可決された。衆院審議を経て今国会中に成立する見通しで、改革を具体化する初の法制化が整う。また政府は今夏、地域主権戦略大綱(仮称)を策定し、市町村への権限移譲や義務付け見直しの拡大などを進める。
義務付け見直しは、公営住宅入居者の収入基準を条例で決められるようにするなど、41法令121項目に及ぶ。郡山市では、地方分権担当の政策調整課の職員2人が、これら地域主権関連の情報を収集中。同市は、夏の大綱策定を待って義務付け見直しに伴う市政への影響分析などで対応する考え。
山本さんは「住民サービス向上に向け、市の自由度が高まる制度を積極的に適用する」と話すが、「権限だけでなく、財源もしっかり移譲してほしい」と注文も付ける。地方分権の「旗頭」とした国の三位一体の改革は、補助金の交付金化を進めたが、地方交付税は大幅に減額された。同市では地方交付税が2004(平成16)〜06年度までに約80億円減少、苦しい財政運営を強いられた。
地域主権改革では、ひも付き補助金を廃止し、11年度から一括交付金化する方針で、総務省が来年の通常国会に向け準備を進めている。ただ、交付税削減を心配する市町村からは「地方のほうが職員を削減している。権限が移されても人と金が手当できるか」との声が上がる。財政健全化が叫ばれる中、財源を伴った地域主権改革が実現されるのか注目される。(おわり)
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