情報不足で疎外感 避難者、候補者と接する機会少なく
「候補者の姿は見えず、チラシが届くだけ」。投開票が21日に迫った参院選。東京電力福島第1原発事故に伴う避難者たちは選挙戦最終盤の19日、各候補者の政策などの情報不足を口々に嘆いた。「期待しても変わらない」と失望を隠さない避難者がいる一方、「投票直前にあらためて政策を比べたい」と、投票に向けた最後の判断材料を求める声も。20日、各陣営は「ラストコール」に臨む。
会津若松市の仮設住宅に避難している大熊町の武内正則さん(63)は選挙期間中、仮設に来て演説した候補者をまだ1人しか見ていない。避難前なら街頭に出て演説を聞いたり、集会に参加したりして話を聞くこともできた。だが今は「街頭演説は会津若松市民向けなのでは」といった遠慮の気持ちも生まれ、自然と足が遠のいてしまう。
失望感を隠せない避難者は多い。田村市都路町から同市の仮設に避難する宗像勝男さん(68)は「候補者は、せわしない様子で、実際に話をして避難住民としての声を伝えることはできなかった」と悔しがる。旧特定避難勧奨地点に指定され、今月から自宅に戻った伊達市霊山町小国地区の会社員佐藤勲さん(65)は「もっと現場の声を聞いてほしかった」と不満を漏らした。一方で、大熊町からいわき市に避難する大学生荒木紀幸さん(21)は「直前にあらためて政策を見比べて投票先を決めたい」と最終判断に臨む思いを語った。
(2013年7月20日 福島民友参院選ニュース)
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