アッヴィ合同会社
アッヴィ、EPKINLY(R)(エプコリタマブ)のリツキシマブとレナリドミドとの併用療法について、再発又は難治性の濾胞性リンパ腫に対する治療薬として米国FDAの承認を取得したことを発表
ー EPKINLYとリツキシマブおよびレナリドミドとの併用療法(EPKINLY+R2)は、1回以上の全身療法後に再発又は難治性の濾胞性リンパ腫患者さんに対する治療として、初めてかつ唯一承認された二重特異性抗体を用いた併用療法
ー 第3相EPCORE(R)FL-1試験において、EPKINLY+R2併用療法は、標準治療であるR2療法と比較し、無増悪生存期間および全奏効率を有意に改善し、EPKINLY+R2併用療法を受けた患者さんのおよそ4人に3人が完全奏効を達成
ー 今回の承認により、EPKINLYは3番目の適応を取得。リンパ腫に対する二重特異性抗体を用いた併用療法としては初のFDA承認
イリノイ州ノースシカゴ、2025年11月18日(米国時間)―アッヴィ(NYSE:ABBV)は本日、皮下投与によるT細胞誘導二重特異性抗体EPKINLY(R)(エプコリタマブ)のリツキシマブとレナリドミドとの併用療法(EPKINLY+R2)について、再発又は難治性(R/R)の濾胞性リンパ腫(FL)の成人患者さんに対する治療薬として米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得したことを発表しました。今回のEPKINLYの承認は、一定期間のEPKINLY+R2併用療法と標準治療であるR2療法を比較評価したピボタル第3相試験(EPCORE(R) FL-1)の結果に基づくものです。この試験により、本併用療法がFL治療を変革させ、より早期の治療で患者さんに貢献できる可能性が示されましたi。
メモリアル・スローン・ケタリングがんセンター(Memorial Sloan Kettering Cancer Center)のリンパ腫専門医であるLorenzo Falchi, M.D.は、次のように述べています。「再発の濾胞性リンパ腫は治癒困難で複雑かつ経過の長い疾患となりうるものであり、より早期の治療でその経過を変えることができる新たな治療法が強く求められています。EPCORE FL-1試験でEPKINLY+R2併用療法が示した結果は極めて大きな意味を持つものであり、R2療法を受けた患者さんと比較して持続的な奏効を示しました。今回のデータは、化学療法を含まず、外来で投与可能な治療法で得られた結果であり、EPKINLY+R2併用療法が新たな標準治療となる可能性があることを示唆しています」
FLはBリンパ球から発生する非ホジキンリンパ腫(NHL)の1つで、通常、低悪性度(進行が緩徐)です。米国では毎年約15,000人がFLを発症しii,iii、既存治療では治癒困難と考えられていますiv。患者さんは多くの場合において再発し、一部の患者さんでは、NHLの悪性度の高い病型であるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に形質転換することがありますv。
第3相EPCORE FL-1試験は、低悪性度から高悪性度の患者さんを含む幅広い患者さんを対象として実施されました。本試験においてEPKINLY+R2併用療法は標準治療であるR2療法と比較して病勢進行又は死亡のリスクを79%減少させました[ハザード比(HR):0.21、95%信頼区間(CI):0.13%〜0.33%、p<0.0001)。2つある主要評価項目のうちの1つである全奏効率(ORR)は、EPKINLY+R2併用療法群で89%(216/243例、95%CI:84%〜93%、p<0.0001)、R2療法群では74%(181/245例、95%CI:68%〜79%)でした。もう一つの主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の中央値は、EPKINLY+R2併用療法群では未到達(NR)(95%CI:21.9ヵ月〜NR)、R2療法群では11.2ヵ月(95%CI:10.5ヵ月〜NR)でした。完全奏効(CR)を達成した患者さんの割合は、EPKINLY+R2併用療法群では74%(181/243例、95%CI:69%〜80%、p<0.0001)、R2療法群では43%(106/245例、95%CI:37%〜50%)でしたi。
EPCORE FL-1試験におけるEPKINLY+R2併用療法の安全性プロファイルは、各治療法(エプコリタマブおよびR2)の既知の安全性プロファイルと概ね一致していました。EPKINLY+R2併用療法群で最も高い頻度(20%以上)で認められた有害反応は、発疹、上気道感染、疲労、注射部位反応、便秘、下痢、サイトカイン放出症候群(CRS)、肺炎、新型コロナウイルス感染症および発熱でした。最も高い頻度(10%以上)で認められたグレード3〜4の臨床検査値異常は、好中球数減少、リンパ球数減少および血小板数減少でした。推奨用法である3段階ステップアップ用量レジメンでは24%の患者さんでCRSが発現しましたが、その大部分は低グレードでした(グレード1:19%、グレード2:5%)。免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)は1例の患者さんで1件発現し、グレード1の事象でした(0.8%)。添付文書では、枠で囲んだ警告欄に、重篤又は生命を脅かすCRSおよびICANSについて記載されています。警告および注意欄には、感染症、血球減少症、胚・胎児毒性等についても記載されています。その他の重要な安全性情報については添付文書をご覧ください。
リンパ腫研究財団の最高経営責任者(chief executive officer, Lymphoma Research Foundation)であるMeghan Gutierrezは次のように述べています。「今回のマイルストーンは、濾胞性リンパ腫患者さんにとって意味のある進歩をもたらすものです。この二重特異性抗体併用療法はさまざまな診療環境で投与可能であり、患者さんは近隣の医療機関でこの治療法を受けることができる可能性があります」
EPKINLY+R2併用療法は、R/RのFL患者さんに対する治療としてFDAより画期的治療薬指定(Breakthrough Therapy Designation:BTD)を取得していました。これは、重篤な疾患の治療法として、臨床的に重要な評価項目において既存療法を大幅に上回る改善をもたらす可能性があることが予備的な臨床エビデンスにより示されている薬剤の開発および審査を迅速に進めることを目的としたFDAの制度です。
アッヴィのoncology, solid tumor, hematology, therapeutic area headでvice presidentであるDaejin Abidoye, MDは次のように述べています。「今回の承認により、EPKINLYは濾胞性リンパ腫患者さんの二次治療以降に使用できる初の二重特異性抗体となりました。再発又は難治性の濾胞性リンパ腫患者さんの転帰を向上させるために、新たな治療選択肢が必要とされています」
2024年6月、EPKINLY単剤療法は2回以上の全身療法後のR/RのFL患者さんの治療薬としてFDAより迅速承認を取得しました。検証的第3相EPCORE FL-1試験の結果に基づき、FDAはこの迅速承認の完全承認への切替えも行いました。両社は、R/R FLの適応に関する他国での承認取得にも取り組んでいきます。
第3相EPCORE FL-1試験から得られたデータは、2025年12月の米国血液学会(ASH)総会で発表する予定です。
EPCORE(R)FL-1試験について
EPCORE FL-1試験(NCT05409066)は、再発又は難治性(R/R)の濾胞性リンパ腫(FL)の患者さんを対象にエプコリタマブとリツキシマブおよびレナリドミド(R2)の併用療法の安全性および有効性を、R2療法と比較評価する第3相、非盲検、無作為化、介入試験です。患者さんは、EPKINLY+R2併用療法群(243名)またはR2療法群(245名)のいずれかに無作為に割り付けられました。EPKINLYは、28日間を1サイクルとして、計12サイクルの投与又は病勢進行もしくは許容できない毒性が認められるまでの、いずれか早い時点まで投与されました。有効性は、Lugano分類(2014)に基づく独立判定委員会(IRC)が評価した無増悪生存期間(PFS)および全奏効率(ORR)の2つの主要評価項目によって確認されました。その他の有効性評価項目には、完全奏効(CR)率および奏効期間(DOR)が含まれます。
EPKINLY(R)(エプコリタマブ)について
エプコリタマブは、ジェンマブ社の独自技術DuoBody(R)を用いて創製されたIgG1二重特異性抗体であり、皮下投与されます。ジェンマブ社のDuoBody-CD3技術は、細胞傷害性T細胞に選択的に作用し、標的細胞に対する免疫反応を誘導する技術です。エプコリタマブは、T細胞上のCD3とB細胞上のCD20に同時に結合するよう設計されており、T細胞によるCD20陽性細胞傷害を誘導します。
エプコリタマブ(米国では製品名EPKINLY(R)で承認、欧州連合では製品名TEPKINLY(R)で承認)は、特定のリンパ腫における適応にて65か国以上の規制当局より承認されています。エプコリタマブは、アッヴィとジェンマブ社とのがん領域における提携関係の下、両社が共同開発を行っている薬剤です。両社は、米国および日本においては、共同で商業化を担い、グローバルにおけるさらなる商業化についてはアッヴィが担当します。両社とも、R/R FLへの適応およびR/R DLBCLへの適応について、さらに国際的な承認の取得を推し進める予定です。
ジェンマブ社とアッヴィは、血液悪性腫瘍の複数の治療ラインにおいて、エプコリタマブの単剤および併用療法としての評価を継続しています。これには、進行中の第3相非盲検、無作為化試験である、R/RのDLBCL患者さんを対象にエプコリタマブ単剤療法と治験責任医師が選択した免疫化学療法を比較評価する試験(NCT04628494)、新たにDLBCLと診断された成人患者さんを対象にエプコリタマブとR-CHOPとの併用療法を評価する試験(NCT05578976)、未治療のFL患者さんを対象にエプコリタマブのリツキシマブとレナリドミド(R2)との併用療法と化学免疫療法を比較評価する試験(NCT06191744)、R/RのDLBCL患者さんを対象にエプコリタマブとレナリドミドとの併用療法と点滴静注による化学療法を比較評価する試験(NCT06508658)の4試験が含まれています。なお、これらの試験におけるエプコリタマブの安全性および有効性は確立されていません。詳細はclinicaltrials.govをご覧ください。
がん分野におけるアッヴィについて
アッヴィでは、幅広いがん種に対する治験薬の開発を積極的に推進するとともに、複数の血液がんにおける標準治療の変革に取り組んでいます。献身的で経験豊富なチームは、革新的なパートナーと協力し、画期的新薬となり得る製品の開発促進に努めています。当社は世界で最も罹患者が多く、また最も消耗性が高いがん種に対し、300を超える臨床試験で20種類以上の治験薬を評価しています。当社の事業の目的は、人々の人生を豊かにすることです。そのため、患者さんが当社のがん治療薬にアクセスすることができるよう、ソリューションの探求にも取り組んでいます。詳細については、http://www.abbvie.com/oncologyをご覧ください。
アッヴィについて
アッヴィのミッションは現在の深刻な健康課題を解決する革新的な医薬品の創製とソリューションの提供、そして未来に向けて医療上の困難な課題に挑むことです。一人ひとりの人生を豊かなものにするため次の主要領域に取り組んでいます。免疫疾患、がん、精神・神経疾患、アイケア、さらに美容医療関連のアラガン・エステティックスポートフォリオの製品・サービスです。アッヴィの詳細については、www.abbvie.comをご覧ください。LinkedIn、Facebook、Instagram、X(旧Twitter)やYouTubeでも情報を公開しています。
References:
i EPKINLY (epcoritamab-bysp) [package insert]. Copenhagen, Denmark: Genmab, 2025.
ii Lymphoma Research Foundation official website. https://lymphoma.org/aboutlymphoma/nhl/fl/. Accessed November 2025.
iii Leukemia & Lymphoma Society. https://www.lls.org/research/follicular-lymphoma-fl. Accessed November 2025.
iv Ghione P, Palomba ML, Ghesquieres H, et al. Treatment patterns and outcomes in relapsed/refractory follicular lymphoma: results from the international SCHOLAR-5 study. Haematologica. 2023;108(3):822-832. doi: 10.3324/haematol.2022.281421.
v Al-Tourah AJ, Gill KK, Chhanabhai M, et al. Population-based analysis of incidence and outcome of transformed non-Hodgkin's lymphoma. J Clin Oncol. 2008 Nov 10;26(32):5165-9. doi: 10.1200/JCO.2008.16.0283. Epub 2008 Oct 6. PMID: 18838711.
vi Engelberts PJ, et al. DuoBody-CD3xCD20 Induces Potent T-Cell-Mediated Killing of Malignant B Cells in Preclinical Models and Provides Opportunities for Subcutaneous Dosing. EBioMedicine. 2020;52:102625. doi: 10.1016/j.ebiom.2019.102625.
