福島の万葉歌碑・アーカイブ
今野 金哉 |
【12】「鳥谷野」(福島)
とやの野にをさぎ狙はりをさをさも寝なへ子故に母にころばえ
「山上憶良」(白河)
銀も金も玉も何せむにまされる宝子にしかめやも
【11】「会津嶺」(会津若松・磐梯)
会津嶺の国をさ遠み逢はなはば偲ひにせもと紐結ばさね
【10】「安太多良・道標兼用」(二本松)
安太多良の嶺に伏す鹿猪の在りつつも吾は到らむ寝処な去りそね
【9】「安太多良真弓(弾きおきて)」(二本松)
陸奥の安太多良真弓はじき置きてせらしめ来なば弦はかめかも
【8】「安太多良真弓(弦はけて)」(本宮・郡山)
みちのくの安太多良真弓弦はけて引かばか人の吾を言なさむ
【7】「安積山」(郡山)
あさか山影さへ見ゆる山の井の浅き心をわが思はなくに
【6】「松が浦」(相馬)
松がうらにさわゑうら立ちまひとごと思ほすなもろ我がもほのすも
【5】「真野」(南相馬)
みちのくの真野の草原遠けども面影にして見ゆといふものを
【4】「金沢」(南相馬)
真金吹く丹生の真朱の色に出で言はなくのみそ吾が恋ふらくは
【3】「二つ沼」(広野)
沼二つ通は鳥が巣あが心二行くなもとなよ思はりそね
【2】「比多潟」(いわき)
ひた潟の磯の和布の立ち乱え吾をか待つなも昨夜も今宵も
【1】「可刀利をとめ」(いわき)
筑紫なるにほふ児ゆゑに みちのくの可刀利をとめの結びひし紐とく
福島民友新聞にて2008年3月26日付まで掲載