【エールのB面】裕一、音の幼少期役・石田星空さん、清水香帆さん

 
主人公役を務めた石田星空さん(左)と、ヒロイン役を務めた清水香帆さん

 NHK連続テレビ小説(朝ドラ)では、物語の土台となる主人公の幼少期は重要で注目度も高い。「エール」では主人公・古山裕一とヒロイン・関内音が音楽と出会う様子などが描かれ、子役の奮闘に感動を覚えた視聴者も多いはず。裕一役の石田星空(せら)さん(10)と音役の清水香帆さん(11)に役や作品への思いなどを聞いた。

 初ハーモニカ

 オーディションでは書類審査を通過した男女約200人の中から、演技や歌唱の1~3次審査を経て主役とヒロインに選ばれた。

  石田 合格と聞いたときは言葉が出ないくらいうれしくて跳び上がりました。撮影に向けてハーモニカ演奏や譜面の書き方、福島弁など一生懸命練習しました。特にハーモニカ演奏は初めてでしたが、今では特技になりました。

 清水 朝ドラが大好きなので、合格と知って夢じゃないかと思いました。学芸会の「竹取物語」で歌うシーンが難しかったです。感情を表現するためにたくさん練習しました。家でも歌っていましたし、通っている学校でもステージを借りて歌わせてもらいました。

 裕一の幼少期は内向的で吃音(きつおん)のコンプレックスを抱える。いじめられても笑顔でごまかす表情の演技も求められた。蓄音機から流れる西洋音楽に目を輝かせる様子も印象的だ。大人時代の窪田正孝さん(31)への継続性を感じさせる石田さんの好演が光った。

  石田 裕一は感情を表に出さない優しい子です。僕もあまり感情を表に出さないので、近い感覚で演技ができました。僕は外で遊ぶより飼っているハムスターと触れ合うとか家で遊ぶ方が好きです。だけど運動ができないわけではなく、ドラマで跳べなかった跳び箱も実際はできます。窪田さんから「頑張ってね」と声を掛けてもらったときはうれしかったです。

 幼少期の音を演じた清水さんも力強い女性像を表現。父・安隆(光石研さん)の死を乗り越える繊細な感情表現も見せた。何より大人時代の音を演じる女優・二階堂ふみさん(25)にそっくりと話題になった。

  清水 音は大胆で言いたいことをはっきり言うタイプ。だけど家族思いな面がある優しい女の子と思って演じました。いつも元気で活発な点が自分と似ています。前から二階堂さんに似ていると言われ、照れるけどうれしい気持ち。二階堂さんに初めて会ったときに「なんてきれいな人なんだろう」と思いました。

 福島弁に苦戦

 第4話(4月2日)で裕一と音の出会いが描かれた。裕一が母・まさ(菊池桃子さん)と川俣を訪ねた際、賛美歌を歌う音に心奪われるシーン。撮影は福島市の教会で行われた。

 石田 教会内は窓から光が差し込んできれいでした。音ちゃんの歌を聞いた後に「川俣、いい。すんごくいい」と絶賛します。このセリフが一番印象的です。音ちゃんを思い出して気持ちを込めました。福島弁には苦戦しました。家で手本の音源を聞き、両親と練習したのですが、寝るのが遅くなるときもありました。

 街の景色感動

 モデルとなった福島市出身の作曲家古関裕而と妻金子(きんこ)。幼少期を演じた2人は古関メロディーに興味を持ち、ロケ地の福島の魅力に触れた。

 石田 福島市の信夫山でハーモニカを演奏するシーンがあり、街の景色を眺めてすごく感動しました。福島駅前に古関さんの像があるように、福島には古関さんが根付いています。福島にエールが送れるドラマになればいいなと思います。

 清水 家族と野球観戦に行った際に「六甲おろし」を知りました。野球といえば「栄冠は君に輝く」もありますね。多くの人に音楽の素晴らしさや古関メロディーの魅力を知ってほしいです。

 【もっと知りたい】後につながる幼少期

 1~2週で人間模様を繰り広げた子役たちの熱演は好評を博した。主演の窪田正孝さんも「幼少期を演じる皆さんの演技が本当に素晴らしくて正直、衝撃を受けた」と語っている。

 民放ドラマで共演経験がある石田星空さんについては「ピュアな心を持ち、求められた役をきちんと演じる」とし「真っすぐな目やナイーブな部分を表現し、運動会のシーンはつい応援した。唐沢寿明さんとの父子の基盤もしっかりと作ってくれた」と評価した。

 忘れてならないのが主人公・古山裕一の幼なじみで、後の「福島三羽ガラス」となる村野鉄男役の込江大牙さん、佐藤久志役の山口太幹さんだ。窪田さんは「後のパートにしっかりとつながる。撮影は中盤まで進んでいるが(幼少期を見て)初心に戻ることができた」と語った。

 【 おすすめ! 】朝ドラ「エール」ニュース一覧