(7)何もない? 福島県には「全てある」

Bonjour、またエミリーです! 毎月コラムを読んでいただき、merci beaucoup!
日本に来てから、いろいろな人と話をして、いろいろな言葉を聞きました。よく聞いた言葉のトップランキングは「しょうがない」「めんどうくさい」「難しい」「何もない」です。
問題が起きたら「どうすればいいか」を考え行動するフランスの教育や、できることを優先する私の性格のせいもあるでしょうが、このランキングの言葉を聞くと、「なりません!」の気持ちになります。
たまに、自分の口からこれらの言葉が出るので、そんな時は、「やるぞー!」の方向へ気分転換です。
なぜかというと、人生は1回だけだから。私がいつも思っているのは「やってみないと分からない」「頑張らないとどうにもならない」ということ。だけど、実際には分からないことや、「どうすればいい?」と迷うことが多いです...。「頑張らないとよくならない」と言われ、とりあえず「毎日、焦らずに、一歩一歩進めばいいんじゃないか?」と思いながら1日が流れていきます。1カ月後、後ろを見ると「おぉ、これもこれもこれもやった!」と気が付いて、続けていく勇気が出ます。
ランキングに入れた「何もない」を初めて聞いた時のことをよく覚えています。福島に来る前、県外のある場所について聞いた時でした。意味が分からず、「何? どんなところなの?」と、驚きました。「木がないの?」「山がない?」と聞いたら、「山、森、田んぼがあるけど何もない」との返事。諦めずに「たくさんあるじゃない!」と言っても、「何もない」と、同じ返事が続きました。
なるほど、「自然しかない」ということですかね?
福島に住んでからも、たくさんの人が「いわきには何もない」と言いました。いえいえ、違います! 海も山も楽しめるし、店がたくさんあるし、見るところがあちこちあります。
私は「何もないところはどこにもない」と思います。そして、いわきだけでなく、福島県には「全てある」と感じています。
2年前に福島のマップを描きました。横浜のマルシェで出店した時にたくさんの方がマップを見て、「福島にはこんなにある!」と言ったのです。
そうです。浜通り、中通り、会津、それぞれの食べ物がおいしくて、景色も違って、どこにいても楽しめます。本当は福島の「全て」を描いたら、10倍のマップが必要です。まだ見てないところが多いので、次の休みはどこへ行こうかな? 楽しみがたくさん待っています!
会津の山は一個一個が丸くて、浜通りの山はつながって長い、と感じます。「山」は「山」なのに、違う雰囲気。大熊町のダムを訪れた時は、「会津の山と似ている」と思いました
★「merci beaucoup」はフランス語で「ありがとう」の意味。
エミリー イラストレーター。東京などで語学講師として活動し、2021年2月から県内に移住。趣味は散歩。猫好き。自身のサイト「メリエマリス」で、赤べこのイラストや県内スポットの紹介文とイラストマップなどを公開。オリジナルグッズも多数展開中。