【 会津若松市・東山温泉(下) 】 宙浮いた気分!心躍る遊びの宝庫

刺すような日差しが照りつけ、額にはうっすらと汗がにじむ。こんな日は汗を流してさっぱりしたい。そして向かったのは東山温泉で最初に出合う宿、1960(昭和35)年創業の東山温泉「御宿東鳳」だ。
建物に入ると、広々とした明るいエントランスに迎えられた。開放感に満ちたロビーに足を踏み入れると、これからどんな癒やしが待っているのだろうかと自然と期待が膨らむ。早速、渡部圭マーケティング部課長(52)に話を聞いた。
まずはメインの温泉。泉質は硫酸塩・塩化物泉で、水素イオン指数(pH)は8.0。露天は男湯、女湯に一つずつ。目玉の「宙(そら)の湯」は、会津若松市内を一望できるのが魅力。外に飛び出したような地上11メートルの湯船が特徴で、入ってみると、なめらかな肌触りにうっとりしてしまう。湯温は41~42度と、熱すぎず、ぬるくもない温度がこの季節にちょうどいい。ガラス越しの景色を眺めていると、自分が宙に浮いているような錯覚に。この日は快晴で、青空と新緑のコントラストが美しく、普段は味わえない絶景につい時間を忘れてしまう。
もう一つの「棚雲の湯」には、深さの違う三つの湯船が備えられている。視線の高さに変化をつけることで、違った景色を楽しんでもらえるようにしたという。そのアイデア、心遣いに感服した。最上段は全身浴、2段目は半身浴、そして一番下の湯船は寝湯になっていて、寝転びながら、温泉と180度パノラマの会津の絶景を楽しめる。浴場には女性にうれしいパウダールームも完備され、お風呂上がりのお肌のお手入れも完璧だ。
◆懐かしの駄菓子
汗を流したところで、館内をぐるっと回っていると、お土産売り場の一角になにやらレトロな空間を発見。聞くと、4月に始まったばかりの駄菓子コーナーだという。販売されているのは駄菓子やおもちゃなど約300種類。子どもの頃に通った駄菓子屋を思い出して自然と笑みがこぼれた。「目移りしてしまいますよね。大人の方も懐かしいのか、たくさん買っていかれますよ」と女将(おかみ)の芳賀美佐子さん(42)。子どもはもちろん、大人もわくわくしてしまう。
遊び心はほかにも。「TOHOトレジャーハンティング」と題した謎解きイベントだ。館内のあちこちにあるクイズを解くと一つの答えにたどり着く。問題やストーリーは3、4カ月ごとに変わり、同館の従業員が全て考えているというから驚きだ。正解者の中からペア宿泊券が当たると聞いてためしに問題を解いてみたが、一人ではちょっと知恵が足りなかったようだ。残念。
随所に遊び心があり、ちょっとしたテーマパークのような工夫がされた館内は、一人でも退屈せずに過ごせる。温泉のほかにも目的ができた。次はあの謎を解いた上で、優雅にお湯を楽しもう。
【メモ】御宿東鳳=会津若松市東山町石山字院内706。日帰り入浴はいずれも税込みで平日千円、土日祝1500円。4歳~小学生は平日500円、土日祝800円。
≫≫≫ ほっとひと息・湯のまちの愉しみ方 ≪≪≪
【つぶあんの水ようかん人気】東山温泉のお土産といえば、1819(文政2)年創業の「松本家」。観光客のみならず、地元の人も足を運ぶ、ようかんの老舗だ。人気商品は、夏にぴったりの「水ようかん」(2本で税込み498円)。歯ごたえがあるつぶあんが特徴。一口食べると小豆の食感とさっぱりした甘さがたまらない。このほか、定番の「湯の花羊かん」や5種類の味が楽しめる「あい姫羊かん」、甘じょっぱさがくせになる「塩糀(こうじ)羊羹(ようかん)」も人気。10月からは会津の特産品である身不知(みしらず)柿を使用した「柿羊羹」も並ぶ。営業時間は午前8時~午後5時。毎週水曜午後は休み(祝日除く)。
〔写真〕小豆のつぶがおいしい水ようかん
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