【 矢吹町・あゆり温泉 】 お土産に名湯『満タン』 天然の保湿成分

 
美人の湯といわれ、お湯に入るとすぐに肌がすべすべになるのが実感できる

 肌寒いと感じる日が増え、街中でも上着を羽織る人の姿が目立ってきた。「ひとっ風呂浴びるか」。温泉が一層恋しくなり始めるこの時期に、向かったのは矢吹町の町健康センターあゆり温泉。JR矢吹駅から南東に車で10分ほどの商業施設が並ぶ場所に位置し"身近な温泉"として、多くの町民らに親しまれている。

 老人福祉センターを改装し、1991(平成3)年に日帰り温泉施設として開業。敷地内の地下800メートルに源泉がある。毎分約300リットル湧出する豊富な湯量を誇り、循環ろ過を行わない源泉掛け流しの温泉が売りだ。同健康センターマネジャーの坂本輝政さん(60)が「新鮮な温泉で疲れを癒やしてほしい」と話すように、豊富な湯量と源泉の近さを生かして開館前に全ての湯を入れ替える。

 地元の農産物や6次化商品などが並ぶロビーから浴場に案内され早速、無色透明の湯につかる。52.4度の源泉を外気温と必要最低限の加水で、内湯42度、露天風呂42.5度に調整している。

 始めこそ熱さを感じたがすぐになじみ、体の疲れが溶け出していくようだ。泉質はアルカリ性単純泉、水素イオン指数(pH)が8.9。神経痛や疲労回復、筋肉、関節痛などへの効能がある。夕暮れの空を眺めながら、肌触りの柔らかな湯を静かに楽しんでいると、徐々に感じる肌のすべすべ感。それを実感する利用者も多いという。故に「美人の湯」として知られるようになり、遠方からも多くの利用客が訪れる。

 美人の湯には、科学的な裏付けもある。あゆり温泉の湯に含まれる成分の特定を温泉研究者に依頼したところ、炭酸水素イオンと天然の保湿成分とも言われているメタケイ酸が多く含まれていることが分かった。温泉を100%使用した化粧水「あゆり姫」も好評を博している。

 ◆町民の憩いの場

 敷地内を見渡すと、見慣れない「温泉スタンド」の文字が目に留まった。24時間営業で、豊富な源泉を100リットル100円で販売している。300リットルあれば一般家庭の浴槽でも十分に美人の湯を楽しむことができるという。坂本さんによると、ほぼ毎日、源泉を買い求める町民もいるほど。湯を運ぶ容器が必要だが、300円で一家が温泉を堪能できると考えればお得に感じる。そのほか、飲泉場や、町内外に根強いファンを持ち、東日本大震災をきっかけに閉店した「和風れすとらん日高」の店主が作る名物カレーが堪能できる食事処(どころ)も備えている。

 「自然の恵みを守り、いい温泉を次の世代に受け継いでいきたい」と坂本さん。浴場では親子や元気に世間話をする高齢者ら、仕事帰りであろうサラリーマンでにぎわっていた。「町の癒やしと憩いの場」。施設を後にするころには、心身ともにほっこりと温まっていた。

矢吹町・あゆり温泉

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 【地場産野菜や手工芸品集まる】あゆり温泉から車で約10分の国道4号沿いに、矢吹町産の野菜や加工品、手工芸品などの多彩な商品が集まる「おいしい矢吹マルシェ」がある。「道の駅やぶき」の整備に向けて、昨年に引き続き開設された。10月1日から11月17日までの期間限定で営業。町内の約50の店舗・個人・団体が出品し、農産物や地元の逸品など多種多様な商品が並ぶ。店内には矢吹町の情報コーナーもあり、目的地、立ち寄り地として好評だ。10月にはハロウィーンに合わせたイベントなども開かれた。営業時間は午前11時~午後7時。水曜定休。

矢吹町・あゆり温泉

〔写真〕矢吹町産の野菜や加工品などが並ぶ店内