【 西会津町・ロータスイン 】 心躍る身近な非日常 自分へのご褒美
「西会津とあそぼう。大自然に包まれた素敵(すてき)な町なんです」
そのようなうたい文句が書かれたパンフレットを見つけた。場所は西会津町の温泉健康保養センター「ロータスイン」。越後街道の宿場町として栄えたこの地で疲れを癒やしただろう旅人のように、今年1年の心身の疲れを取り除きに向かった。
施設を管理する西会津町振興公社の専務井関松夫さん(60)に聞くと、施設名の由来はギリシャ神話。Lotos(ロータス)とは、食べると浮世の苦しみを忘れる実がなる「忘憂樹(ぼうゆうじゅ)」を指す。「お客さまが元気な姿になって帰ってほしいという思いも込められている」という。施設は1992(平成4)年に日帰り温泉施設としてオープン、その後宿泊施設も造られた。
早速、大小四つある掛け流しの温泉をいただこう。約42度のお湯に肩までつかる。今年もいろいろつらいことがあった。でもその出来事を一瞬で忘れさせてくれる柔らかなお湯。自分へのご褒美に最高だと幸せを感じる。
ふと、お湯から塩の香りを感じた。お湯は水素イオン指数(pH)7.89で泉質はナトリウム―塩化物強塩泉。井関さんの話では、かつて西会津周辺は海だったとされ、源泉には海水に近いミネラル成分が含まれているそうだ。
利用者は主に町民や観光客だが、大型トラックの運転手の隠れた休憩場所にもなっている。疲労回復や神経痛などに効くとされるお湯は、長旅が多いトラック運転手に最適なのだろう。確かにお湯から上がっても体がぽかぽか。オープン前から温泉を楽しみに待つ利用者が多いのもうなずける。
◆人を呼ぶ起点に
施設内には、西会津を舌でも感じてもらいたいという思いから、レストラン「會wase(あいわせ)」で町の特産品「ミネラル野菜」や「車ふ」などを使ったメニューを提供している。レストランの名前は会津弁で「行こう」を指す「あいばせ」と「幸せ」を掛け合わせた。アイデアマンの女性料理長らは、揚げたイワナをパンに挟んだ「岩魚(いわな)ドッグ」という珍しい商品などを開発し、新しい目線で西会津をPRしている。
施設の外には隣接する「さゆりオートパーク」がある。ここにはコテージが10棟あり、夏にはキャンプ宿泊やバーベキューも楽しめる。家族連れが遠くまで行かなくても非日常を満喫する姿が容易に想像できる。
施設のコンセプトは、「『ただいま』『おかえり』を、自然と言いあえる場所」。井関さんは「町のレジャーランドのようなこの施設を起点に、町に人を呼び込む施設にしたい」と熱く語った。自宅感覚で通う町民から、日常を忘れようと訪れる家族連れまで、幅広い利用者の心をつかみ続けるための努力に強い思いを感じた。
【メモ】温泉健康保養センター「ロータスイン」=西会津町登世島字下小島187。日帰り温泉は大人400円、小学生以下200円、未就学児無料。
≫≫≫ ほっとひと息・湯のまちの愉しみ方 ≪≪≪
【いつでも沖縄気分楽しめる】ロータスインから車で約5分の場所にある、道の駅にしあいづ「交流物産館よりっせ」には、沖縄県産品を常時取りそろえるコーナーが設けられている。沖縄県から長寿の秘訣(ひけつ)を学ぼうと、西会津町が宮古島市と友好都市を結んだ縁などで沖縄商品が並ぶ。同県で有名なアイスクリーム「ブルーシール」や泡盛、オリオンビール、ちんすこうなどの沖縄定番の人気商品が用意されている。時間は午前9時~午後7時(12~3月15日は同6時)。
〔写真〕沖縄の定番商品が常時並ぶコーナー
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