「Fukushima50」佐野史郎さん リレーメッセージ(1)
東京電力福島第1原発事故直後の現場対応に当たったプラントエンジニアたち作業員の姿を描いた映画「Fukushima50(フクシマフィフティ)」。現場を指揮する当直長を演じた佐藤浩市、吉田昌郎所長(当時、故人)役の渡辺謙をはじめ日本を代表する俳優陣が、あのとき繰り広げられていた知られざるドラマを迫真の演技で再現する。実力派キャストそれぞれに、作品に懸けた思い、福島へのメッセージを聞いた。
◆「安全神話を信じ、思考停止していた」
かつて私は東京電力のテレビコマーシャルに出演しておりました。福島原発でのロケ撮影もありました。中央制御室での撮影もよく覚えています。
今回「Fukushima50」の初号試写を見終わった時、真っ先に、撮影時にご案内いただいた方のことを思い返しました。
あの方はどうなさったのだろうかと。
ヒロシマ、ナガサキへの核爆弾投下、映画「ゴジラ」(1954年)製作の引き金ともなった、米軍によるビキニ環礁水爆実験に伴う第五福竜丸乗組員被曝(ひばく)事故で、あれほど核の恐怖、放射能の恐ろしさを子どもの頃から教わってきていたはずなのに、「事故に対する安全対策は万全」と国が唱えていた安全神話を信じ、思考停止していた自分に、今、福島に対してできることは何か? と問い掛けます。
対応に追われる原発事故現場を視察する当時の総理への批判は大きかった。その役を務めることで、福島を、この列島のこの先を思うことを忘れずにいなければと戒めます。
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