映画・Fukushima50「未来につなげる」 主演ら舞台あいさつ
東京電力福島第1原発事故直後の現場で対応に当たった作業員らの姿を描いた映画「Fukushima50(フクシマフィフティ)」の先行特別試写会は23日、郡山市の郡山テアトルで開かれた。主演の佐藤浩市さんと渡辺謙さん、若松節朗監督が舞台あいさつに立ち、作品や本県の未来に向けた思いを語った。
福島民友新聞社の主催、郡山テアトルの協力。一般対象の試写会は全国で初めて。2回の上映に計約530人が参加した。現場を指揮する当直長を演じた佐藤さんは「ここから全国を回り、みんなにいろんなことをもう一度考え直してもらい、未来につなげたい」と強調。吉田昌郎所長(当時)役の渡辺さんは「当事者の方々にどう受け止められるのか不安もある」と心情を明かした。佐藤さんは「負の遺産を少しだけ形を変えた遺産に変えよう」、渡辺さんは「自分ができる最大の仕事で、やっと福島の皆さんにお届けできるものができた」と県民にメッセージを送り、舞台あいさつを締めくくった。
映画の原作は作家・ジャーナリストの門田隆将さんの「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」(角川文庫)。3月6日に全国公開される。
佐藤浩市さん「古里...伝わる作品に」
古里、家族、仲間、そういったものが伝わる作品になったと思う。当時そこにいた方々の気持ちが本当に分かるかといえば、それは不可能だけれど、その方たちの何十分の一、何百分の一でもそれを伝えることが演者にできないかと思いながらやってきた。(復興は)終わっていないが、始めるためには人間の力が必要で、前に進んでいくこと、それをもう一度、各都道府県の方々に感じてもらいたい。
渡辺謙さん「人間ドラマたくさん」
あの事故を当事者として体験した多くの方々がいるこの地で試写会をすることに正直どきどきしている。でも、この作品の中にはすごくいい人間ドラマがたくさんある。それを僕たちは一生懸命撮ってきたつもりなので、その部分を見てもらえれば、いい映画、深い映画になったと感じてもらえるのではないかと思っている。この地を皮切りに、この映画を発信していけることを誇りに思っている。
若松節朗監督「リアリティーを追求」
発電所の中で、死を賭して一生懸命頑張った人たちがいたということを、世の中にちゃんと紹介していきたいというのがこの映画の一つのテーマだ。5年をかけてようやく完成したこの映画を福島から発信できることをうれしく思うし、誠実に映画を作ってきたつもりだ。この作品ではうそをついてはいけないとリアリティーを追求した。日本人みんなに見てほしい、そんな映画だと思っている。
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