当時思い出し涙...真実風化させない Fukushima50特別試写会
郡山市で23日に行われた映画「Fukushima50(フクシマフィフティ)」の先行特別試写会。来場者は東日本大震災と原発事故から間もなく9年を迎える節目を前に、それぞれの思いで映画を見届けた。
浪江町で生まれ育った郡山市の女性(62)は、作品に「当時の現場の厳しさと緊張を感じた」という。地元出身の当直長を演じた佐藤浩市さんの演技には「一番苦しい立場をよく演じてくれた」と感じるものがあった。「真実を知らない人も映画を見て、事故を風化させないでほしい」との思いを口にした。
富岡町から郡山市へ避難し、同市への定住を選んだ女性(50)。夫(53)は当時、東京電力福島第1原発で勤務していたという。関東地方への避難も経験したが、夫は使命感からすぐ原発へ戻った。作品を見て感じたのは、真実が伝わってほしいとの思いだ。上映後は「被災者でもある原発関係者の当時の思いが伝わってほしい。夫が一部を担ったことは誇らしく思う」と涙を浮かべた。
いわき市の男性(62)は元東電社員。3、4号機で当直長を務めた経験もある。「リアリティーとヒューマニズムにあふれた作品だった。事故後は恐怖より、自分に何ができるのかという思いでいっぱい。きっと社員全員が同じ気持ちだった」とフクシマフィフティと自身の思いを重ねた。
退職後も、責任感から環境省で復興に携わっている。「改めて、体が続く限り復興のために頑張りたいと思った」と決意を新たにした。
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