池上彰さん「原発事故」解説 映画・Fukushima50都内試写会

 
原発事故の経過について解説する池上さん

 東京電力福島第1原発事故直後、現場で懸命に対応した作業員や技術者らを描いた映画「Fukushima50(フクシマフィフティ)」について、ジャーナリストの池上彰さんが19日、都内で開かれた試写会で、原発事故の経過や第1原発の現況を解説した。

 池上さんは「現場の人たちの努力でとりあえずの危機は免れたが、原発事故は続いている。あの人たちの努力に報いるためにも私たちは今、これからをどうするか、考えていかなければならない」と語り掛けた。

 映画の意義について、池上さんは「当時、何があったのか、改めて事実を確認することができた」と語った。政府が最悪の場合、希望者の移転を認める区域が第1原発の半径250キロに及ぶ可能性を想定していたとし、「現場の人たちが本当に最後まで頑張ったおかげで、私たちは今、東京で日常生活を送ることができている」と述べた。

 第1原発で増え続けている放射性物質トリチウムを含んだ処理水を巡り、池上さんは「どこかの段階で政府が処分方法を判断しなければならない。私たちはそれを認めるかどうか、決断が迫られる」と指摘した。

 映画は、作家・ジャーナリストの門田隆将さんのノンフィクション作品「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」(角川文庫)が原作で、3月6日に全国公開される。