「Fukushima50」リレーメッセージ(9)渡辺謙さん

 
 わたなべ・けん 新潟県出身。ハリウッドデビュー作「ラストサムライ」(2003年)で米アカデミー賞助演男優賞にノミネート。「硫黄島からの手紙」(06年)、「インセプション」(10年)などハリウッドの話題作に出演している。

 人間の苦悩や家族に再会できた喜びなどが大変丁寧に描かれています。この素晴らしい脚本があったからこそ私も出演を決めました。

 故吉田昌郎(まさお)所長(当時)役を演じるにあたり、詳しくリサーチをして、当時の映像も見ました。ただ、そのままコピーするよりも、どんな苦しみがあり、何と闘っていたのか、その精神性をくみ取ることを意識しました。

 この映画で重要になるのは、佐藤浩市演じる当直長と吉田所長との強い絆だと思います。赤い電話一本でつながっているだけですが、彼が中操(中央制御室)にいてくれることで深い安心感が生まれる。

 こちらの撮影が始まる時には、浩ちゃんたち中操チームの撮影は終わっていました。浩ちゃんから「終わったぞ」と言われ、すごい大事なボールを渡された感じがしましたね。

 被災地の方々には、人や地域が再生できる力を信じてほしい。きっとこの映画は、そのためのエールになると思います。それぞれの古里を思う気持ちを忘れないために、この映画を皆さんに届けたいです。

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