「Fukushima50」リレーメッセージ(11)萩原聖人さん

 
 はぎわら・まさと 神奈川県出身。映画「学校」「教祖誕生」「月はどっちに出ている」で日本アカデミー賞新人俳優賞と話題賞、「マークスの山」「CURE」で同賞優秀助演男優賞など多数の受賞歴がある。声優やナレーションでも活躍している。

 震災当時、私は何もできませんでした。俳優という職業を続けていくなかで「Fukushima50」という映画に出合い、ふと、あの時できなかった自分が俳優として何かできるのではないかと思い、参加させていただきました。

 数年前、別の作品などで須賀川市、陸前高田や気仙沼などを訪れ、しばらく滞在していました。そこには自分の知っていることと知らない現実、復興しているようで、していない街が混在していることを目の当たりにしました。現地でお世話になった農家さん、宿や街の方々の心遣いが本当に温かく、自分には何ができるのかと訪れるたびに改めて考える時間が増えました。

 「Fukushima50」は、そこに至るまでのほんの一部の時間を切り取った作品ですが、10年後、20年後、さらにその未来において、日本人の誰もが知っているような作品になってほしいと願っています。