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 2次救急病院
【9】―2009.03.27
■病院群輪番制 

 地域で複数の病院が共同し、順番で休日、夜間の診療を行うこと。県医療計画によると県内10地区で導入されており、入院治療が必要な2次救急医療を担っている。いわき市では18病院で輪番制を行っており、県内で最も数が多い。
第2部
救急医療
 
― 専門外の診療課題  ―
 
 「2次救急病院の受け入れ態勢を強化できないか」。福島市で23日に開かれた県救急医療対策協議会。救急患者の搬送拒否問題をめぐる議論の中で、出席した委員からこんな意見が相次いだ。命にかかわる重篤な患者を扱う3次救急医療機関である救命救急センターに、本来は2次救急病院で診るべき患者が数多く搬送され、センターの受け入れ機能を低下させているからだ。
 協議会では、県が今月まとめた昨年1年間の救急搬送の実態調査結果が示された。重症救急患者について、医療機関が5回以上受け入れを拒否したケースの発生件数は【別図】の通り。浜通りの救急医療の厳しい現実が浮き彫りになった。委員として協議会に出席した浜通りの救命救急センターの医師は「2次救急病院にはもう少し受け入れてもらいたい。でもどの病院も医師不足で十分な当直態勢がとれず大変なのは分かるので、大きな声ではいえない」と葛藤(かっとう)する心情を語った。
 昨年12月から今年1月にかけ、県内7生活圏ごとに病院関係者や消防署員、行政担当者が集まり、搬送拒否問題など地域救急医療について話し合った。結果、南会津地域を除く6地域で、病院群輪番制の当番に当たった2次救急病院は「救急隊からの受け入れ要請を原則拒否しない」ことを申し合わせた。この通り実行すれば、診療科の数に限りのある2次救急病院は、たとえ専門外の症状の患者であってもいったんは診療しなければならない。
 専門外の患者の受け入れについて、協議会に出席した浜通りの2次救急病院の院長は訴訟問題が壁になると指摘する。専門外を受け入れ、症状を見逃すなどして患者が死亡した場合、医師個人の責任が追及される事態を医師は恐れるという。「個人責任が追及されては救急はうまくいかない。救急で専門外の患者を受け入れるなら、病院が全責任を持つ体制づくりが必要」。2次救急の強化のためには、病院の医師に対するバックアップをまず充実させるべきだと訴えた。
 


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