『医療危機 ’09ふくしまの現場から』TOP
 福島医大
【4】―2009.08.03
福島医大が郡山市で開いた説明会。各診療科の医師がずらりと並び、参加者の質問に答えた
医局離れ 

  医局離れ 医学生が自由に研修先を選ぶようになった2004年以降、「雑用が多い」「市中病院の方が経験が積める」などの理由で大学病院で研修を受ける医師が減少。大学病院だけでなく、医師の派遣を受けていた公的病院も人手不足となった。
第3部
研修医
 
― 専門研修に優位性  ―
 
 8月は忙しく過ごす医学部6年生が多い。初期研修(卒後臨床研修)を希望する病院で筆記、面接試験が行われ、人によっては数多くの試験をこなすからだ。福島医大6年の広瀬恵佳さん(24)も「これまでは学生気分だったが『いよいよ来たぞ』という感じ」と気を引き締める。
 岐阜県北方町出身。県外の病院を第1志望にしているが、初期研修を終えた後は後期研修医として同医大に戻ることを検討。「県内に残りたいと思う一方、外を見てみたい」との相対する思いがあり、こういう進路を導き出した。
 同医大が本年度採用した後期研修医は、募集定員と同程度の54人。2004(平成16)年に現行の研修制度がスタートし、大学病院の募集定員が埋まらない「医局離れ」が進んだが、同医大医療人育成・支援センターの大谷晃司准教授(44)は「後期研修医の数は、04年以前の水準に戻った」と話す。
 初期研修(卒後臨床研修)でも、本年度から必修診療科目数が削減され、より専門的な研修が可能となったことで専門分野を学ぶのに有利な大学病院が医学生の注目を集めている。同医大が学内向けに開いた説明会には医学部所属の79人のうち53人が参加。関心の高さをうかがわせた。
 同医大の医師が増えれば県内公的病院に派遣する医師も増やせる。
 医師不足に悩む病院にとって朗報となるが、同医大では「医局離れ」の影響で100人以上の医師が減少したままとなっており、大谷准教授は「この分をまず充足させなければ」と指摘。地域医療を改善させる役割を医大が果たすには、「さらに研修医の確保が必要」と語る。
 同医大は6、7月、医学生や初期研修医向けの説明会を同医大や郡山市で開いた。県外の研修病院との争奪競争を勝ち抜くため、大谷准教授は「『田舎』を前面に出したい」と言う。関東など大都市部の病院より研修医が少なく経験できることが多いことや、先輩、後輩がすぐに見知った顔になり、自由に助言を受けられることなどをアピール材料にしたい考えだ。
 


〒960-8648 福島県福島市柳町4の29

個人情報の取り扱いについてリンクの設定について著作権について

国内外のニュースは共同通信社の配信を受けています。

このサイトに記載された記事及び画像の無断転載を禁じます。copyright(c) THE FUKUSHIMA MINYU SHIMBUN