『医療危機 ’09ふくしまの現場から』TOP
 自治体
【6】―2009.08.05
自治体
病院担当者の説明を聞く仲丸さん=仙台市
 いわき市の病院勤務医 

 同市によると、病院勤務医は2006(平成18)年時点で323人で、2000年から6年間で56人減った。診療所医師はこの6年間で逆に増加しており、病院勤務医確保が急務となっている。
第3部
研修医
 
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 「当直は月何回ぐらいですか」。仙台市で開かれたいわき市主催の病院勤務医就職ガイダンスで、参加者の1人、東北大医学部6年の仲丸友望さん(25)は臨床研修病院の担当者に熱心に質問を投げかけていた。脳神経外科や神経内科に興味がある。初期研修(卒後臨床研修)には将来の専門を固めずに臨み、適性を見極めようと思っている。会場に設置された病院のブースを意欲的に回った。
 仲丸さんは埼玉県熊谷市出身だが「東北の学生だし、東北で働きたい」と考えている。いわき市にゆかりはなく、同市の印象も「東北で一番南、ですよね」という程度だったが、友人からガイダンスのことを聞き参加してみた。「自治体が主催するガイダンスは初めて。話に聞くより医師不足は深刻なんだなと感じた」と、市の熱心な医師招へい活動に驚いた。
 県内でも病院勤務医不足が特に深刻とされるいわき市は昨年から、市独自に医師の就職ガイダンスを県内外で開催している。今年は6、7月に仙台、東京の両会場で開き、いわき市でも10月に開く予定がある。両会場のガイダンスを前に、市職員は東北大医学部や東京の7つの医科大の前で医学生にポケットテッシュを配るなどして開催を周知したが、仙台会場の参加者は12人、東京会場は6人。同市地域医療対策室の高萩正人室長補佐(46)は「参加につながらなくても、いわきのことを心にとどめてもらうことに意味がある」と語る。「海があり山があり、あらゆる所に遊びの文化が芽生えている『しゃれた田舎町』。ぜひ、おいでいただきたい」。櫛田一男いわき市長は仙台会場で、参加者にこう呼び掛けた。市の地域性を前面に出した売り込みだ。
 「われわれには普通でも、相手にとってはそうでないこともある。年間通じてサーフィンを楽しめることを好む人もいるだろう」と高萩補佐。実際、「いわきに来てサーフィンの腕が上がった」と喜んでいる救急医を知っている。「アピールすべきはすべてアピールしていきたい」と、「いわきの良さ」に病院勤務医確保への活路を見いだしたい思いを吐露した。
 


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