『医療危機 ’09ふくしまの現場から』TOP
 地域医療
【7】―200908.06
地域医療
実習で南会津町を訪れた広瀬さん(左から2人目)。ホームステイ先の家族から、地域医療にタイする思いを聴いた
福島医大医師定着推進事業 

  同医大のすべての学生が対象。南相馬市立総合病院の産科・小児科救急当直現場を見学したり、只見町の朝日診療所を訪れるなどして、各地域で求められている医療について理解を深めることなどを目的としている。
第3部
研修医
 
― 実情を肌で感じる  ―
 
 医師として県内に残ってほしい−。初期研修(卒後臨床研修)を県外で終了後、後期研修は県内に帰ってくる進路を思い描いている福島医大6年の広瀬恵佳さん(24)は今年、同医大地域・家庭医療部の実習で訪れた南会津町で、ホームステイ先の家族の、そんな思いを聞いた。「医大の取り組みを見ていても、残ってほしいという気持ちが伝わってくる」。地域や大学の切実な思いは十分理解している様子だ。
 同医大医療人育成・支援センターは本年度、学生の県内定着を目的とした事業を立ち上げた。夏休み期間を利用し県内の病院で課外実習を体験する内容で、実習先は南相馬市の総合病院や奧会津の診療所など。地域の人々が将来の医療人に求めていることを肌で実感することで、本県の医師としての使命感を育ててもらいたいとの狙いがある。
 「後輩だから、いろいろ面倒みたくなる」。南相馬市にあるかんのキッズクリニックの菅野弘之院長(49)は同医大の卒業生。5日、同事業で訪れた1年生2人の訪問を受けた。「私が学生のころは、外に出て地域医療を学ぶという機会はなかった。地域の実情を知ることは、県内定着に結びつくのではないか」と、同事業の意義を語る。地域医療の魅力など、先輩として後輩に伝えたいことは多い。
 「早い段階で地域医療に触れてもらう」ことを重要視し、県教委も動いた。医学部進学を希望する県立高2年生を対象に、県内各地域の医療現場を見学する新事業を本年度に立ち上げた。生徒たちが同医大に進学するとは限らないが「県内の医療を支える医師になってほしいとの思いがある」と担当者は語る。
 医学生が研修医として踏み出す第一歩に、安心で健康な生活を望む県民の視線が集まる。
  (第3部おわり)
 


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