『医療危機 ’09ふくしまの現場から』TOP
 医療費未払い
【1】―2009.11.24
医療費未払い
いわき市立総合磐城共立病院の時間外窓口夜間の診療でも医療費を未払いのままにするケースが後を絶たないという
公立病院 

 地方自治体が経営する病院。多くが赤字で苦しんでおり、経営改善が緊急の課題。県内の公立病院は、昨年度から本年度にかけ、国のガイドラインに基づき経営効率化や経営形態見直しの計画などを盛り込んだ改革プランをまとめた。
第4部
公立病院
 
― 「確信犯」対応を強化/不況影響 募る危機感  ―
 
 「生活苦で医療費を本当に払えない患者もおり、われわれ医師もやるせない。それだけに『払えるのに払わない』というような確信犯には憤りを感じる」
 いわき市立総合磐城共立病院産婦人科の本多つよし医師は、受診した患者が医療費を払わないケースのうち、「確信犯」の患者に対しては毅然(きぜん)とした態度で対処すべきと考える。「必死に働いているのに病院は赤字、その原因の一つになっているのは医療費の未払い問題だ」
 同病院は08年度決算で17億1000万円の単年度純損失を計上。赤字幅は前年度より8500万円減少したが、依然として厳しい経営状況が続く。収入を支える医療費のうち、回収が不可能と判断する未払いの総額は約3100万円に上り、医療費未払いが追い打ちを掛ける格好となっている。
 堀川盛敏医事課長は、医療費未払いについて「病院の根幹を揺るがす問題。粛々と支払いを求める民間病院のような対応が十分でなかった。公立病院は、よく言えば患者に優しく、悪く言えば甘かった」と語る。
 同病院は2007(平成19)年12月、未払い費用を回収する専属の「徴収嘱託員」を1人採用し、昨年5月からは2人に増やした。いずれも60歳前後の女性で、同病院や福祉関係の職場での勤務経験があり、実情にも詳しい。未払いの患者に電話をかけたり、自宅を訪問するなどして支払いを求めている。
 未払いの発生防止や回収のためのマニュアルも今年10月にまとめた。悪質な患者に対し、同病院として初めて法的手続きを取るための準備も進めているが、不況の影響が、戦々恐々とさせている。本年度の医療費未払いが、前年度よりも増加しそうな勢いだという。
 県立病院でも医療費の未払いは切実な問題。県病院局によると、県立病院の医療費未払い金残高総額は、昨年度末時点で9400万円。同様に不況の影響が懸案で、福島市で今月、各病院の担当者の会議を開き、取り組みを強めたい考え。
 


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