『医療危機 ’09ふくしまの現場から』TOP
 コストダウン
【2】―2009.11.25
コストダウン
県立会津総合病院内にある、民間業者が管理する倉庫。病院は必要な診療材料だけを業者から購入することができる
県立病院の費用削減計画 

 県病院局は経営改善に向けて(1)SPDによる医薬品・診療材料の購入費削減、適正管理(2)委託業務の契約内容の見直し(3)総人件費の抑制−などを本年度まとめた改革プランに盛り込んでいる。
第4部
公立病院
 
― 診療材料安く購入/民間業者のノウハウ活用  ―
 
 県立会津総合病院(会津若松市)のフロアの一画にある倉庫の中に、注射器やマスク、手袋など診療に使う材料の箱が積んである。これらは病院のものではなく、倉庫を管理する民間業者の所有物。病院側は診療材料を必要とした場合、この倉庫の中から必要な量だけを購入できる。病院内で物品の発注から購入を行う物流の新たな手法(SPD=物流管理システム)だ。「これまでは『箱買い』するしかなかったが、今は注射器一本からでも買える。無駄がなくなった」。同病院総務課の黒沢昭二主任主査(46)は新しいシステムの効果を語る。
 医師不足や診療報酬のマイナス改定の影響などで厳しい経営を強いられている県立病院。経営改善につなげようと県病院局は昨年8月、SPDを導入。委託を受けた業者が診療材料を管理するほか、医薬品・診療材料をメーカーや販売会社などの外部業者から一括購入する際の価格交渉も担う。同局によると、都道府県が経営する病院でSPDが導入されるのは大阪、兵庫に次いで本県が3例目。
 大量購入する医薬品や診療材料の価格の交渉はこれまで同局や各病院が直接、行ってきた。県病院局の佐竹浩病院経営改革課長(49)は「民間病院などから情報を得ながら何とか安く買おうと試みてきたが、限界があった」と振り返り「SPD業務を専門に扱う民間業者は業界に詳しく、医薬品・診療材料を安く仕入れることができる」と利点を挙げる。委託業者による価格交渉で昨年度の県立病院の物品購入費が、06年度決算比で医薬品は2.3%、診療材料は5.7%、それぞれ削減できた。
 同局はさらなるコストダウンを模索するが、おのずと限界もある。「診療科の減少などで県立病院の規模自体が縮小すると、SPDの効果も小さくなる」と佐竹課長。医薬品や診療材料の購入量が減ればスケールメリットが効かず、価格を抑えられない。「以前はこのフロアにも病室があったんだけど」。倉庫のあったフロアで、黒沢主任主査がつぶやいた。病院規模の縮小はコストダウンへの取り組みにも影を落とす。
 


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