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原油価格高騰
原油高騰などを背景に、暖房用としても休息に普及するエアコン
第2部 エコの落とし穴

(2)電気暖房の使用進む //発電状況でCO増加も//  (08.03.17)
 今冬の県内の電力消費は1日当たり消費電力量で7回、最大電力でも4回、過去最高を更新する記録ラッシュとなった。原油価格の高騰で灯油価格も急騰、エアコンはじめ家庭暖房を電気系に切り替えるケースが急増したためとみられる。「石油ファンヒーターよりも圧倒的にエアコンが売れた」と福島市の家電量販店は指摘する。室内の空気を汚さないエアコン暖房も電気料金の点で普及にブレーキがかかっていたが、機器の省エネが格段に進んだ。
 インターネットの問い合わせサイトでは、エアコンと石油ファンヒーターのどちらが得か、消費者の投稿が盛ん。部屋の構造や広さ、東北など外気温が低い地方でのエアコン性能の課題、放射熱で暖かさを実感できる点などで石油系有利の回答がやや多い。「会津など灯油を大量購入する家では設備投資もしており、簡単にエアコンに切り替わるとは思わない」と話す石油業界の関係者もいる。
 一方、エアコン支持者も少なくない。特に新築住宅ではオール電化住宅が急激に伸び、東北電力によると、県内の2006(平成18)年度実績は4004戸、7年間で10倍に増えている。「高齢者世帯では火を使わなくてすむという安全性も評価されている」と住宅メーカーは指摘する。
 一般家庭がコストや生活環境で機器を選択するのに対して、地球温暖化対策に携わる関係者は二酸化炭素(CO)の排出量を気に掛ける。温暖化防止が叫ばれる前は、話題に上ることも少なかった視点だ。
 県などが進める「ふくしまの環境家計簿」では、電気は使用電力量(キロワット時)に排出係数0.56(東北電力)をかけるとCO排出量が算出される。灯油は使った量(リットル)に排出係数2.5をかける。排出量を自分で確認して省エネ意識を高めてもらうのが目的。「エアコンはエネルギー消費効率(COP)が高くなった。ガスもいい。電気か灯油か、行政が『何がいい』とは言えない」。温暖化防止県民運動を担う県環境活動推進グループは言葉を選ぶ。
 ただし電気の排出係数は電力会社の発電状況によって大きく変化する。原子力発電の割合が東京電力より低い東北電力は、排出係数が高い。原油高騰などを背景にCO排出の多い石炭発電が増加。家庭では一見クリーンな電気も、燃料輸送や発電、送電ロスなどでCO排出量が大きく変動する危うさを秘めている。
   
 


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