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電源地域のCO
原発停止で需要が高まった東北電力原町火力発電所。CO2排出量も比例して増加する
第2部 エコの落とし穴

(3)石炭火発で排出量増 //電力会社に厳しい数字//  (08.03.18)
 火力発電所13基が稼働している本県。地震で宮城、新潟両県の原発が相次いで停止、火発の石炭使用量の増加に比例して二酸化炭素(CO)排出量も増えている。13基の総出力量は約950万キロワットと、原発10基の約910万キロワットをしのぐ。
 石炭火発が1キロワットを発電する際のCO排出量は975グラム、石油は742グラム、原発は実質ゼロ。県内の火発で生じるCO排出量は、発電のために使った構内電力を県内分にカウントした後、消費される場所に応じて東北電力と東京電力に分配される。
 地球環境への負荷としては同じことだが、本県の温室効果ガス排出削減の目標達成には見過ごせない。
 県内の温室効果ガスの総排出量は2005(平成17)年度で2198万トン。県の目標「1990年度比マイナス8%」達成には、10年度までに600万トンの削減が必要とされる。総排出量の4割近くを占める産業分野からの排出やオフィスや家庭などからの排出では、それぞれ削減努力が続いているが、おおもとの東北電力の発電時に石炭消費が増加すれば排出量がはね上がるという特徴がある。
 電力会社は水力、火力、原子力の「ベストミックス」運転を目指す。しかし、基幹電源の原発が止まれば、電力需要に応じて調整用に利用してきた火発を基幹電源として24時間運転するようになり、CO排出量も増加する。特にオイルショック以来、国策で石炭火発を推進してきたツケが温暖化対策に重くのしかかっていると県はみる。
 東北電力は、本年度から12年度までの5年間平均のCO排出係数を90年度比20%削減、1キロワット当たり320キログラムとする目標を打ち出しているが、同社福島支店は「非常に厳しい数字」と受け止めている。
 県が示した地球温暖化防止に向けた「環境・エネルギー戦略」では、電力会社の自助努力による削減分として200万トンを見込んだ。削減目標の3分の1を占める。県は「電力会社の目標はあくまで最低ライン。何としても達成してもらわなければ」(環境活動推進グループ)と強調する。
 一方、県は戦略の中で本県の新エネルギー基地化を進めるが、風力発電などの電力も首都圏に流れれば、現行制度では本県のCO削減には全く貢献しない。県は「県内でつくられた自然エネルギーも県内のCO削減分となるような制度に変えたい」(同)と話す。
   
 


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