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環境税
暫定税率の期限切れ間近で対応が注目されるガソリンスタンド。暫定分を環境対策に使うアイデアも取りざたされた
第2部 エコの落とし穴

(4)公平さ欠く現行税率 //経済性など優先し決定//  (08.03.19)
 道路特定財源をめぐる国会の議論が前に進まず、ガソリン税などの暫定税率の期限切れが今月末に迫る一方、暫定上乗せ分の新たな使途として環境目的税に活用しようという議論が取りざたされた。ガソリンや軽油を自動車燃料として使えば二酸化炭素(CO)が出る。地球温暖化対策でCO排出者に負担を求めるならば筋が通るという見方。
 県内のCO排出量のうち運輸部門は20.9%(2005年度)を占める。国内の一般家庭からのCO排出量のうち乗用車の燃料分は3割近いというデータもあり、快適で活力ある生活を営むには相応のCO排出が伴う現状を裏付ける。CO排出量が多いものに税金を課し、対策費を確保しながら排出量を抑える一石二鳥の効果を狙うのが環境税。
 しかし、現行税制の税率は環境負荷とは別に、経済性や歴史的経緯から決まってきた。ガソリンと軽油の1リットル当たりのCO排出量は、それぞれ2300グラム、2600グラムで軽油がやや多い。これに対し、税金は1リットル当たりでガソリンが53.8円、軽油は32.1円。地方税収となる軽油引取税より、ほとんどが国の税収となるガソリン税の方が高い。
 また、石油石炭税をみると、1キログラム当たりの石炭のCO排出量が約2600グラム、液化天然ガスの同排出量が約2700グラムとなるのに対し、1トン当たりの課税額は石炭が700円、液化天然ガスは1080円と、CO排出量の差に比べて税制面での石炭の優遇が明らか。
 「石炭はもともと無税だったものを、負担の公平化を図るため2003年度当時の見直しで課税した。完全な環境税ではなく、CO排出量に比例しているわけではない」と経済産業省資源エネルギー庁総合政策課は石油石炭税の税率について説明する。「環境税の観点からは、政府で別に考えています」
 ガソリン税の高さは石炭の比ではない。1回40リットルの給油で2152円の納税、石炭税約3トン分に相当する。
 県石油商業組合の小林勝専務理事は「特定財源である以上、使途が何であろうと一般財源化すれば消費者を欺くことになる」と業界の一貫した主張を強調。「環境対策に使うなら、これに使いたいという税の使途を明示し、方法を(ゼロから)考えるべき。県の森林環境税も使途をあとから議論している」と憤る。
   
 


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