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森林整備
森林整備
温暖化防止に不可欠な森林整備。県は間伐体験などを通じ、森林に対する県民理解の醸成を図る
第2部 エコの落とし穴

(5)CO吸収へ適切管理 //県民の理解促進が課題//  (08.03.23)
 県が2006(平成18)年度に導入した森林環境税は、全国4位の97万3000ヘクタール、県土全体の71%を占める森林の保全や、森林に対する県民の理解の促進などを目的に掲げる。
 同税を財源とした県の主要事業の1つが水源地域の森林整備。県は昨年12月、新たに「温暖化防止」を目的に加え、森林整備を二酸化炭素(CO)吸収源対策に位置付けた。新年度は前年比113%増の9800ヘクタールの森林で間伐などを行う。
 県の温室効果ガス削減目標「1990年度比マイナス8%」の達成には、10年度までに600万トンの削減が必要。このうち森林によるCO吸収量は約4分の1を見込む。「京都議定書」は温室効果ガス削減に森林のCO吸収量の算入を認めている。
 しかし、削減効果が認められるのは90年以降に植林された森林や、間伐などで適切に管理された森林に限られる。木は成長段階でCOを吸収、貯蔵するが、燃えたり腐ったりすればCOを再び空中に解き放つ。本県が誇る広大な森林も、整備しなければ排出削減対策の役目を果たさない。
 ところが、木材価格の低迷で森林経営の採算が合わない今、民有林の所有者から環境目的の整備に理解を得ることは容易でない。民有林整備には国、県の補助制度があるが、間伐では1ヘクタール当たり10万円程度の所有者負担が生じるとされる。県は「荒れた森林は資源にならない。所有者にもう一度、山に目を向けてほしい」(森林計画グループ)と訴える。
 担い手の減少と高齢化も森林整備にブレーキをかける。本県の林業労働者は1755人(05年農林業センサス)。2000年の前回調査から541人減った。危険と隣り合わせの労働環境に加え、労働者の日当も7000―8000円程度。県森林組合連合会の矢吹良美専務理事は「負担軽減のため機械化などが必要だが、各組合とも経営状況は厳しい。森林整備はボランティアではない」と力説する。
 森林がCO対策の効果を発揮するまでには、長い時間と林道整備を含め膨大な費用を要する。民有林の整備も公費での支援なしには動かなくなってきた。一方、国産材を住宅建材にもっと活用したり、間伐材をペレットストーブなどで消費できれば林業経営も回り出し、地球温暖化防止への貢献が認められる。森林を再生可能な資源として利用する意識が、県民一人一人に問われている。
   
 


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