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生ゴミ減量化
生ゴミ減量化
生ごみの水切りをしっかりしてから廃棄。家庭での小さな心掛けが地球温暖化防止につながる
第2部 エコの落とし穴

(7)生ごみ減量化 //堆肥化でメタン発生//  (08.03.26)
 家庭から市町村のごみ焼却場に集められる一般ごみのうち、水分の多い生ごみは重くて輸送コストがかかり、焼却炉にも大きな負担になる。しかし、家庭で堆肥(たいひ)にすれば減量化が図られる上に、家庭菜園への活用などで住民の関心も高まるため、堆肥化の機材購入に助成したり、機械を貸し出したりして推奨する自治体が多い。
 食べ残しなどをリサイクルする活動は、発がん性が高いとされるダイオキシン類とごみ焼却場との関係が議論になったのを機に活発化。焼却灰で処分場が埋まるのを抑える効果もあり、いいことずくめに映る。
 しかし、地球温暖化防止に向けた温室効果ガスの排出抑制が叫ばれて以降、生ごみの処理法が問われるようになった。生ごみを無造作に埋めるなど酸素のない状態で堆肥化するとメタンが発生しやすいため。二酸化炭素(CO)に比べて量は少ないが、メタンの温室効果はCOの21倍もあるとされる。
 廃棄物学会で論文賞を受けるなどした京都大環境保全センターの平井康宏准教授らの研究によると、温室効果ガス排出抑制に最も効果があるのは、生ごみのメタン発酵で出た大量のガスを発電に使う場合だが、県内にこうした施設はない。
 メタンをあまり出さずに堆肥化した場合と、焼却とを比べると、条件設定にもよるが堆肥化の方がやや有利という分析結果が多い。
 意外にも最も問題視されるのは、市町村なども助成している電動式生ごみ処理機。電気使用量がCO排出に算入されてしまう。「冬場は電気で保温する必要があり、電力消費が増える」と平井准教授は指摘する。
 環境省は、温室効果ガス排出抑制の視点からみた生ごみの処理の在り方について、統一見解は示していない。「メタンを発生させる生埋めはせず、メタン回収か焼却かということになるが、地域によって出るごみにも違いがあり、選択メニューはいろいろあるのでは」(廃棄物リサイクル対策部)という。
 いわき市は、堆肥づくりのコンポストや電動処理機について、累計で1万世帯以上に助成してきた。「資源は有効活用すべきだし、市民意識が高まる」(環境整備課)として、ごみ減量化の意識づくりを重視する。堆肥づくりは冬場を中心に難しく根気もいるが、焼却ごみに出す場合も生ごみの水をよく切ったり、食べ残しを少なくする努力が、一人一人の生活の中で問われている。
   
 


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