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 改善進む雇用情勢 
 
  再建へ動きだす避難者

 福島20%に対し、宮城、岩手は5%前後。雇用保険の特例給付終了後も就職活動を行っていない失業者の割合だ。当地の雇用をめぐる事態の複雑さ、深刻さが端的に表れる。将来の居住地の見通しさえ定まらぬ避難者の多くは、就職活動に身が入らず、長年の経験を活(い)かせる仕事に巡り合うことも容易ではない。東電からの賠償金などで、当座の生活費に困らないとの事情がかえって就業意欲をそいでいるとの指摘もある。
 もっとも、こうした雇用情勢にも変化が見られ始めた。復興関連の需要の増加から企業の求人は統計開始(1963年)以来、最大の規模に達し、3月の有効求人倍率(企業の求人数/求職者数)は、震災前の0.49倍から0.82倍まで急上昇。就労環境が好転する中で、3月の就職件数は前月の3534件から5286件へと大幅に増加した。雇用者所得(雇用者数×給与)も2月には前年比プラスに転じている。住み慣れた自宅への帰還めどが次第に明らかになり、避難者の方々も現実的な想定の下で生活再建に向けて動きだした。今後も新しい就職口を得る動きは広がっていくことが予想される。こうした形で次第に賠償に依存せずとも所得や消費が自律的に拡大し、県経済が本格復興に向かう姿を期待しつつ、今後の雇用動向を注意深く見守っていきたい。


けいざい散歩


2012年5月28日付
福島民友新聞に掲載

 

 

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