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 川内村の取り組み 
 
  警戒区域の課題の試金石

 村民の早期帰還を目指す川内村。農林業を生業とする村らしく、山々に囲まれたのどかな風景が広がる。だが3千人弱の村民のうち村に戻っているのは、お年寄りや役場関係者など、僅(わず)か500人ほど。その多くは村外からの通いで、昼間の街にも村民の姿は見当たらない。道の両側に広がる荒れ野にかつての田畑の面影はなく、元通りの姿を取り戻すまでの道程は長い。
 村は現在、数十億円の国費をかけた除染に取り組む。進出意思を明確にする企業も現れるなど、明るい話題も出てきた。村民が徹底した除染を求めるのは当然だし、早期帰還が実現するなら、費用の多寡は問題とすべきではなかろう。ただ周囲の山々を含めた生態系全体の修復はいかに実現していくのか。仮に除染しても効果が薄く、村民の殆(ほとん)どが戻れないとなれば、何のための除染だったのかとの疑問も湧いてくる。
 そういえば仮設住宅についても、当初から入居めどの立たない住宅を数多く造り、その後も満室を前提に下水処理施設を増設するなど、多くの無駄が指摘される。復興のためといえども、事前に効果を推し量る相応の瀬踏みは必要だ。
 川内村の取り組みは、多くの警戒区域が今後直面する課題の試金石。その結果次第では、同区域の復興への道筋についてもあらためて考えてみる必要がある。


けいざい散歩


2012年6月25日付
福島民友新聞に掲載

 

 

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