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 県内のお金の歴史 
 
  平藩が先駆け藩札発行

 今回はお金の歴史の話。物の本によれば、東北地方に広くお金が出回り始めたのは、江戸時代初期のこと。県内では、まず平藩が大手商人に委託する形で領内のみに通用する藩札を発行。時期は1667年というから、日本最古の藩札といわれる福井藩札に遅れること6年ほど。全国でも3番目の早さだった。18世紀初頭には、会津藩、白河藩がこれに続いた。
 当時、世の中は幕府により、金、銀、銭の三貨を正貨とする全国共通の貨幣制度が整備されたばかり。ただ正貨の量には限りがあったから、藩札は江戸や上方から遠く離れた奥州の地にあって、経済活動に必要なお金を流通させる先進的な工夫だった。
 もっとも、この藩札。実態はこのころ、既に窮乏化しつつあった藩財政の赤字補填(ほてん)に充てられ、約束した正貨との兌換(だかん)は絵に描いた餅。結果として諸々の利用促進策にもかかわらず、いずれも失敗し、数年後には発行停止の扱いとなった。
当時は幕府も改鋳(品質の劣る貨幣への切り替え)を繰り返し、差益で赤字を補填する始末。幕末には偽造貨の鋳造に組織的に取り組む藩も数多く見られたというから、あきれ返る。
 通貨発行の失敗の歴史は独立した通貨管理当局の存在や通貨の価値に対する信認、偽造防止技術の重要性を雄弁に物語っている。


けいざい散歩


2012年10月14日付
福島民友新聞に掲載

 

 

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