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 石巻視察 
 
  復興の整合性なお工夫

 仙台で開催された日銀東北支店長会議の際に被災地石巻を訪ねた。大手企業の出先工場こそ操業しているが、居住禁止区域に指定された海岸線付近の広大な敷地には建物の礎石以外に何もない。市街地にも津波の爪痕が残り、震災から2年を経ても元の街並みには程遠い状況だ。
 宮城、岩手も本県と同様、人手不足と生コンをはじめとする資材不足が深刻化、復興の足かせとなっている。ようやく増設が決まった生コンの新プラントも稼働は来年になるなど、進展の遅れは本県と大差ない。
 そんな中で異様に映ったのが、海岸線近くに増設された巨大な水産加工工場の風景。建屋内には補助金で導入された無菌の海水製氷装置や大量の魚を分別処理するコンベヤー、梱包(こんぽう)設備や冷凍倉庫が所狭しと並ぶ。徹底した省人化を可能とする最先端の設備だが、皮肉にも仮岸壁すら整わぬ石巻にあがる魚は今もなく、設置後、一度も稼働したことがないという。復興過程の足並みの乱れを象徴する光景だった。地元では過剰設備への回帰を懸念する声も聞かれ始めた。
 ちぐはぐな復興過程を物語る事例は本県でも事欠かないが、石巻にてあらためて復興の難しさを実感させられた。復興計画全体を加速しつつ、より整合的に進めていくためにはさらなる工夫が求められる。


けいざい散歩


2013年4月1日付
福島民友新聞に掲載

 

 

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