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 異次元緩和 
 
  インフレ期待、抜本転換

 先般、日銀は2%のインフレ目標を2年をめどに達成すべく、マネタリーベース(世に出回る現金と金融機関が保有する日銀当座預金の合計額)を2年で2倍にする「異次元」の金融緩和に踏み切った。
 今回の緩和措置のキーワードは「期待(予想)の抜本的な転換」だ。金融緩和は金利の低下や、よりリスクの高い資産への投資の増加を通じて、企業活動を活性化し、需給バランスに影響を与えるものだが、過去20年ほどの経験に照らせば、上記経路からの効果だけではマイナスの物価を2%に押し上げるには力不足。それを補うには、物価上昇を達成する日銀の強い姿勢とそれを裏打ちする強力な緩和措置で、はびこるデフレ予想をインフレ予想に変化させる必要がある。
 ただ、こうした政策にはリスクも伴う。特に実際に物価が上昇に転じ、長めの金利もそれを織り込んで上昇に転じた際の対応が問題となる。インフレ抑制に向けて金融引き締めに転じるには日銀の国債購入量を縮小し、場合によっては保有する国債の売却が必要になるが、このことがさらなる金利上昇をもたらす。金利の上昇が行き過ぎれば、国債価格の下落により金融機関に多額の損失が発生し、貸し渋りの誘因となる。そう考えると、それまでの間に財政再建に道筋を付けておくことが極めて重要な前提となる。

 ◇おことわり 野村充支店長の「けいざい散歩」は今回で終わります。

けいざい散歩


2013年4月29日付
福島民友新聞に掲載

 

 

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