【冷やし中華】「+マヨ」愛 いわき熱く!

 
マヨネーズの小袋が添えられた、くん太郎方木田店(福島市)の冷やしみそ中華。三浦紀行店長によると、マヨの袋添えは35年ほど前の開店当時からのサービス。付けたり、付けなかったり、客の選択の幅が広がるという

 8月も残りわずか。今回は行く夏を惜しむテーマである。題して「福島人は冷やし中華にマヨネーズを付けるのか」。

 実は、福島県は冷やし中華にマヨネーズを付けるのを好む土地柄―との説がある。全国の食文化の違いをまとめた野瀬泰申著「決定版 天ぷらにソースをかけますか?」(ちくま文庫)によると、「冷やし中華にマヨネーズを付けるか?」の質問に「付ける」と答えた人の割合が「優勢」だったのは6県で、愛知県などとともに本県も「冷や中+(プラス)マヨ」派に名を連ねた。

 だが本当か? 県内は広く地域差もあろう。そこで本欄は、この説を検証すべく情報提供を求めた。以下がその成果だ。

半世紀前から

 いわき市の70代男性Kさんは「冷やしにはマヨ。店にない時はマイマヨ派。持ち歩いてますよ!」。同様に投書の約9割が「冷や中+マヨ」愛を語っている。さらに興味深いことに気付いた。「+マヨ」支持者の約8割が、同市の人なのだ。

 「(+マヨは)いわきでは当たり前。家でも子どもの頃からマヨネーズが付いてたし、お店でも、高校のお弁当注文の冷やし中華にも。それが普通だと思っていました」(50代女性Oさん)など「いわき市民=+マヨ派」への確信に満ちている。

 この確信、外側から見ても本物らしい。鹿児島県出身で16年前いわき市に嫁いだ山名直美さん(50)は「結婚して最初の夏のこと、主人はマヨネーズを迷いもなく冷やし中華にイン、するとお義父(とう)さんたちまで次々と。後日、いわきの人は、ほぼマヨネーズを入れて食べると知りびっくり! わたし的には辛子を付け、さっぱり食べたいです」。

 この+マヨ愛に、いわき市民はいつ目覚めたのだろう。同市の政井満枝さん(48)は「74歳の母が初めて冷やし中華を食べたのが昭和48~50年ごろ。その頃からマヨネーズは付いていたとのこと」。半世紀前なのだ。

 他地域との温度差に関する話も多い。いわき市出身のIさんは「進学した東京ではマヨが付いていなくて驚きました」。同市の熊谷ひとみさん(56)は「(+マヨが)全国的じゃないと最近知りました。県内でも分かれているの?」。

明確な地域差

 中通りは「郡山市では付けない」との情報もあったが、三春町の滝桜子さん(49)は29年前、同市の卸商センターの食堂で、冷やし中華を注文した人たちが「マヨネーズあり」「なし」と厨房(ちゅうぼう)に声を掛けていたという。「食堂には宮城県の人もいて、福島はマヨネーズ添えが一般的、仙台では付かない―の違いがあった。マヨがつゆに混ざるのが嫌という人もいたからとか」

 福島市方面は人それぞれ。ほの丸ママんさん(56)は「付ける、添えるではなく『かける』。タレと一緒になった甘じょっぱさ~酸っぱさ~を味わうのです」と語るが、ラーメン店くん太郎方木田店の三浦紀行店長は「付けるお客さんもいれば、付けない人も。量もまちまち」。

 会津方面は一転して淡泊だ。滝桜子さんによると「若松や坂下の人に昔のことを聞くと、辛子は一般的でも、マヨはあまり付いていなかったそうです。温かいラーメン文化ですから」。

 さて結論。県内は「冷や中+マヨ」派がまあ優勢だった。ただ明確な地域差がある。熱い浜通り、ほどほどの中通り、淡泊な会津―と濃淡がある。さらに起源や愛される理由など疑問は尽きないが、次の機会に。新情報待ってます。