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モスラの歌
生誕100年記念
モスラの歌
「モスラ」の脚本(古関裕而記念館提供)
斎藤 秀隆 (福島東稜高教員)

(37)2009.11.16

観客の興味把握し変幻自在
モスラの歌
 「あ! モスラの歌も作っているんだ」。感嘆の声を上げたのは、女優の岩崎ひろみでした。当日はテレビ制作のため福島市の古関裕而記念館を訪問、展示室のスチール写真を見て、思わず口をついて出た言葉でした。
 「モスラの歌」は、1961(昭和36)年に制作された東宝映画「モスラ」の主題歌で、インドネシアの架空の島の石碑に書かれた呪文じゅもんを歌にしたものです。歌は当時のアイドル、ザ・ピーナッツが歌って大ヒットしました。「モスラ」は怪獣映画でしたが、超一流の人々が大まじめに作った傑作でした。
モスラを呼ぶ呪文
 モスラを呼ぶ呪文を日本語風に訳せば、「モスラよ/永遠の生命/モスラよ/悲しき下僕の祈りに応えて/今こそ蘇よみがえれ/モスラよ/力強き生命を得て/我われらを守れ/平和を守れ/平和こそは/永遠に続く/繁栄の道である」といった意味のようです。
 「モスラの歌」は読売新聞日曜版(平成13年7月)などでも取り上げられました。そこでは、古関音楽で異色の曲を探すとしたら本曲以外には、アイヌを舞台にした「イヨマンテの夜」(歌・伊藤久男)と「黒百合の歌」(歌・織井茂子)ではなかろうか、との話がありました。
 妖精に扮ふんするザ・ピーナッツが「モスラ」を歌って人気を博したのは、まさに古関の奥行きの深さ、イマジネーションの豊かさといえるでしょう。「モスラ」のメロディーラインは、時にはアラビア風であったり、東南アジアの秘境風であったりして、古関音楽の変幻自在さの一面を見せてくれました。古関は観客の興味・関心がどこにあるかを、常にしっかりと把握していました。
平和へのメッセージ
 話を映画に戻しましょう。モスラの映画は、私の知る限りでは四本公開されています。古関が手掛けたモスラの第一作に流れていたものは、ロマンとファンタジーでした。エンディングの「平和こそは永遠に続く繁栄の道である」との呼び掛けは、「モスラ」が稀有けうな怪獣作品であることを示しています。
    メ  モ  
 伊福部昭 
 いふくべ・あきら。北海道出身。東宝映画「ゴジラ」の音楽を担当しました。中学校時代までアイヌの家族と遊び、彼の音楽の原点となりました。音楽の専門教育を受けずに、交響楽や歌曲、映画音楽などを作曲、古関との共通点も多いといわれます。 

 


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