「冒頭から引き込まれた」 朝ドラ・放送開始、夫婦の旋律期待

 
放送が始まった「エール」を鑑賞する引地さん=福島市

 「『エール』が福島を盛り上げてくれる」。福島市出身の作曲家古関裕而と妻金子(きんこ)がモデルのNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「エール」が始まり、視聴した関係者らから期待の声があふれた。音楽と生きた夫婦が織りなす旋律が、復興へと歩む福島への"エール"として鳴り響く。

 朝ドラの主人公・古山裕一役は窪田正孝さん、妻・関内音役のヒロインは二階堂ふみさんが演じる。「冒頭から音楽の素晴らしさを伝える内容で一気に引き込まれた」。古関の母校・福島商高同窓会長の引地洲夫さん(80)=福島市=は「若い世代に古関さんの素晴らしさを知ってもらえる」と期待。古関を研究する斎藤秀隆さん(78)=同市=もコミカルさを評価し「新型コロナウイルスで鬱屈(うっくつ)した社会をぜひ明るくしてほしい」と歓迎した。

 1964年の東京五輪開会式にまつわる場面もあった。古関夫妻の長男正裕さん(73)=東京都=は「実際の父(裕而)の様子は、作曲したオリンピック・マーチを『会心の作』と誇らしげに語った」と振り返り「今後のドラマに期待したい」と応援。古関家の親戚の古関嘉子さん(82)=福島市=は「古関さんは温厚で、金子さんは引っ張るタイプ。作中ではこの関係性を表現したのでは」と古関夫婦に思いをはせた。

 福島市の古関裕而記念館には30日、県内外から約130人が来館した。朝ドラ化決定以降の来館者は平日100人超だったが、新型コロナウイルスの影響に伴って最近は多くても50人ほど。朝ドラをきっかけに来館した仙台市の加藤公士さん(75)は「古関さんの名前や古関メロディーは知っていたが、どんな人生だったかは知らなかった。これからも福島に足を運んでみたい」と語った。