【 郡山・駅前アーケード商店街(上) 】 昼夜で『別の顔』見せる通り
十字に延びたアーケードの通りは昼夜で装いを一変させる。人通りがまばらで閑散とした昼の顔。そして、サラリーマンや若者、客引きでごった返し、活気に満ちた夜の顔。居酒屋やスナックをはじめ、クラブ、キャバクラなどが入居するテナントビルが立ち並び、郡山市を代表する歓楽街「駅前アーケード商店街」で見られる日常だ。
上野発の鉄道の終着駅として、1887(明治20)年に開業し、ちょうど130年を迎えた郡山駅。西口駅前広場から南北に走る通りを隔てて郡山シティホテルと飲食ビルの間からアーケードは続く。東西に130メートル、南北に158メートルの通りにテナントビルが約50棟連なり、入居する店は数百店舗に及ぶ。
店が開く夕方6時すぎから、人通りが増え始め、午後8時ごろには中心部の十字路交差点付近に客引きが顔を出す。人混みは深夜まで途切れることなく続く。一方通行で車が走れるが、タクシー運転手の女性は「夜は、通りに群がった酔っぱらいに『早く行け』と罵声を浴びることもあり、この通りは走りたくない」と打ち明けた。
逆に昼間の営業は飲食店の10店舗程度で、物販はほとんどなく、ランチ時にグループの往来があるにすぎない。
上には『別世界』
商都の歓楽街は駅前通りを挟んで北のアーケード商店街周辺、南の「陣屋」に分かれ、地元の市民や来訪者をもてなしてきた。商店街の店舗はチェーン展開の居酒屋が目立つが、地元出店もあり、魅力を発信している。「昔から陣屋は接待が多いが、アーケードを訪れる客は年齢に幅があり、友人同士が多く、ざっくばらん」。商店街の会長を務め、12年目を迎えたテナントビル、富士館ビル社長の石田弘さん(72)は、客層を紹介する。
アーケードは網が入ったガラス製。石田さんは「強風で物が当たり、直径約30センチの穴が開いたことがあった。網があったおかげで大部分は、ぶら下がった状態だった。壊れたのは40年で、この1回だけ」と振り返る。アーケードの上には、修理工事用の通路「キャットウオーク」が張り巡らされ、下の通りとは全く違う景色が広がる。
商店街には、ビルの解体に伴い、駐車場が点在する。「小さな店でも、びっしり並んで人通りが多いのがアーケード」と妻クニ子さん(70)は現状に感じる寂しさを漏らす。石田さんは「人が集まる仕組みを考えていきたい。力のある店が増えないと、活気のある元気な通りにできない」と将来を見通す。
≫≫≫ ちょっと寄り道 ≪≪≪
【午前1時まで営業のケーキ店】郡山駅寄りの十字路角に2014(平成26)年にオープンしたケーキ店「BIRTH(バース)」。営業時間は午後2時~翌日午前1時の郡山唯一の深夜営業店で、20~50代の男性客が目立ち、スナックなどの女性スタッフへのお土産、誕生日プレゼント、帰宅時のお土産が多い。
〔写真〕午前1時まで営業し、男性客が多いケーキ店「BIRTH」
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