【 郡山・さくら通り商店街(下) 】 若い力が集結...文化の発信地へ
現在のさくら通り商店街は、昔の面影を残しながらも音楽とファッションを発信する拠点へと変化しつつある。若者が古着を選び、カフェで会話を交わし、ライブで熱狂する。ライブが行われる時にできる長蛇の列は、さくら通り商店街の日常の一こまだ。
音楽の発信拠点の一つ、ライブハウス「ヒップショット」は1990(平成2)年、イベントスペースとして始まった。ダンスの発表会、ファッションショーなどが行われ、多くの市民でにぎわった。現在は、若手から有名アーティストまでがツアーなどで訪れ、県内外からファンが集結する場所となっている。
安く、おしゃれにファッションを楽しむ若者に人気の古着。商店街には、数店舗の古着屋が軒を連ね、若者が古着屋巡りを楽しむ姿が見られる。通りの一角に古着屋「スラットコオリヤマ」を構える佐藤伸弥社長(34)は、古着の聖地として知られる東京・高円寺で修業を積んだ。2014(平成26)年9月、地元で念願の店をオープンさせた。店内には、スポーツやストリートブランドなど500種類以上の古着が並ぶ。通り沿いに2号店をオープン。佐藤社長は「さくら通りを原宿の竹下通りのようなファッションを発信する通りにしたい」と夢を語る。
◆店舗間で協力
八幡坂の中腹には、音楽と酒を味わえる「レコードカフェ&バー ソイルラウンジ」がある。石井信彦社長(42)は13年、DJの技術を競う「レッドブル・スリースタイル東北大会」で優勝した経歴を持つ東北有数のDJ。高校時代にブラックミュージックの世界に魅了され、技術を磨いてきた。店内には5000枚以上のレコードが所狭しと並び、クラブミュージックの魅力を伝えている。店内のDJブースでは、若者に技術を伝えるなど後進の育成にも精力的だ。
さくら通り商店街にある音楽を楽しめるバーなど各店では、店を行き来できるパーティーも行われている。「力を合わせて音楽を発信していきたい」と石井社長は言う。
佐藤社長、石井社長がともに口をそろえるのは「若い力の結集」だ。「さくら通り商店街を盛り上げるため、イベントを開くなどし、地域活性化につなげていきたい」
商店街では、イメージアップを図るため、歩道を石畳とし、32基ある街路灯はそれぞれ違う星座をモチーフにしている。さくら通り商店街振興組合会長の杉山隆彦さん(63)は「街路灯のようにさくら通り商店街が光り輝く通りにしていきたい」と街路灯にかけた思いを明かす。古き伝統を受け継ぎ、時代を反映させる力がにぎわいを創出する道しるべとなる。
≫≫≫ ちょっと寄り道 ≪≪≪
【本の森でスイーツ楽しめる】3000冊以上の新刊や古本、料理本など多彩なジャンルの本が並ぶ「ゴーゴーラウンドディスワールド!ブックス&カフェ」。天井まである明るめの書棚に囲まれた中、ゆっくりと本を楽しめる。手作りのスコーンはチョコ、シナモンロール、プレーンを用意。読書だけでなく、ランチや手作りスイーツを味わおうと、人気を集めている。営業時間は午前7時~同10時、同11時30分~午後6時。定休日は火曜日。
〔写真〕本に囲まれた中、ゆったりとした時間を楽しめる店内
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