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  【 松平定信公伝TOP 】
【 連載を終えて 】
 
 書き尽くせない大人物

 昨年4月から連載を続けてきた、松平定信公伝は3月25日付で最終章となった。福島民友新聞社との約束で、連載期間1年を経過したからである。

 私は14、5回あたりから、この連載が1年間で書き終わらないと気付いた。そこで、各章・各項目を省略したり、簡略したりしてまとめ上げようか、とも考えた。

 しかし、簡略したのでは内容が陳腐となり、かつ現在出版されている数々の定信本を読めば十分間に合う。そこで途中で終了しても詳述していった方が良い、と判断した。

 松平定信は、本県にとって欠くことのできない人物である。田沼意次失脚後、老中首座として寛政の改革を行い、幕藩体制の強化と維持に努めた。政治、経済をはじめ、倫理の分野においても主導的役割を果たし、他面、和歌・画道・学問・庭園などにも精通した。

 つまり、各方面からの追究が要求され、1年間では書き尽くせない大人物なのである。寛政の改革に関する諸論文、奢侈(しゃし)に対する叙述、庭園造形の報告書など、定信を断片的に紹介する内容は、今日多々見られる。これらの断片的内容を総合的観点から再度論究し、定信の全体像が成就されることを期待してやまない。

 私は連載執筆にあたり、次のような章、項目をたてた。

 1章、はじめに、田沼意次と松平定信の人物史観
 2章、田沼意次の時代と幕藩体制の矛盾
 3章、松平定信の登場
 4章、田安宗武と定信
 5章、松平定邦と定信
 6章、老中首座前夜
 7章、老中首座就任
 8章、寛政の改革―(1)農業政策(2)商業政策(3)奢侈と倹約(4)異学の禁
 9章、外交と蘭学―(1)アイヌ騒乱(2)定信と西洋天文学(3)定信と西洋地理書(4)定信に禄仕した蘭学者(5)ラクスマンの来航と対応
 10章、定信の老中免職
 11章、定信の文事―集古十種の刊行
 12章、定信の文事―南湖、浴恩園などにおける自然観
 13章、おわりに、定信の交友と死去

 全章のうち、今回をもって9章外交と蘭学・第1節アイヌ騒乱まで終えた。とりわけ9章は、論究したものが少ないばかりか、あっても概要程度にすぎないため、ぜひ論じたいと考えていた。しかし残念ながら、1年が過ぎ去ってしまった。最終章まで原稿はほぼできているので、また別の機会にお目にかかりたい。

 福島民友新聞社の担当者にはお世話になった。御礼を申し上げる次第である。
 最後に「松平定信公伝」学習会を2年半の計画で、毎月第3火曜日に福島市中央学習センターで開いている。詳しくは、田中稔泰会長(電話024・521・3344)に連絡されたい。

磯崎 康彦

>>> 番外編


連載を終えて
取材に訪れた白河市の小峰城前で筆者=昨年10月

【2009年4月1日付】
 

 

福島民友新聞社
〒960-8648 福島県福島市柳町4の29

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