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  【 会津の天才連歌師TOP 】
 連載を終えて 
 
 足跡をたどる旅は続く


 猪苗代兼載没後500年という記念の年を迎え、少しでも多くの方々に、兼載という偉人を知ってほしいと願い、連載をさせていただいた。浅学の身ゆえ十分にお伝えできなかった面も多々あったと反省しきりである。しかし筆者としては、書き進めていくうちに次々と新たな課題が見つかったり、読者の方に不明な点や、誤解を招きやすい表現などのご指摘を賜り、とても収穫の多い半年であった。

 さて、兼載が生まれたとされる小平潟(こびらかた)を中心に行われた「猪苗代兼載没後500年祭」記念事業のこれまでの経緯と今後について紹介したい。

 ◎2009年6月6日
 「猪苗代兼載没後500年祭」式典・神事・連歌奉納
 「没後500年記念講演会」 
 県立博物館主任学芸員・川延安直氏による《小平潟天満宮と御宝物について》
 筆者による《天神さまの申し子・猪苗代兼載》

 ◎2009年7月24日、25日
 「小平潟天満宮祭礼」の日に際し、《兼載への認識度調査と宣伝活動》

 ◎2009年9月12日
 「猪苗代兼載の墓参とゆかりの地を視察」

 ◎2010年以降は
 ・兼載の句碑建立
 ・兼載母、加和里(かわり)御前の墓地及び周辺整備
 ・幹の梅周辺整備
 ・史跡の表示板と史跡めぐりマップの作成
 ・有識者による講演会実施や連歌等の発表会

などを予定しており、小平潟区長佐藤善司氏を中心に準備を進めているところである。

 中世の連歌(れんが)は、日本文学史の中でも最も知名度が低く、いかに優れた連歌師といえども多くの人には知られないままであるのが現状である。これは、和歌や俳諧(はいかい)と違って、連歌という文芸に我々(われわれ)現代人が馴染(なじ)んでいないという点も大きい。

 しかし、最近は全国各地で連歌や連句の会が催され、少しずつこの座の文芸が人々にもてはやされつつある。室町時代にはあれほど民衆を熱狂させた連歌の魅力を、現代人が多少なりとも体得できる機会が増えていくことを期待したい。

 高度な情報化社会の波にのまれ、価値観の多様化とともに根無し草のようにさまよい続ける現代の私たちにとって、産土(うぶすな)がどれほど重要な意味を持つか、再確認すべきなのではないだろうか。

 私は、生まれた土地から輩出された優れた偉人の足跡を辿(たど)っていくうちに、その偉人を育(はぐく)んだ土壌の豊かさを知り、同じ土地で生まれた者として、誇りに思うことで自身の人生にも力を与えられてきた。ふるさとの偉人を知ることは、己れの立つ根源を探り当てることであり、自分の原点を再確認することでもあるのだ。そうして初めて自らの人生が根付き、新たな一歩を踏み出せるのではないだろうか。

 連載は終了したが、「猪苗代兼載」の足跡を辿る道のりはまだまだこれからも続く。連載にあたり、ご尽力くださった小桧山六郎様、最後まで支えてくださった福島民友新聞社文化部の皆様に心より感謝申し上げたい。

(猪苗代町出身・埼玉県立皆野高校教諭・詩人)

おわり


会津の天才連歌師 猪苗代兼載没後500年記念

戸田 純子

>>> 26 … 完


連載を終えて
猪苗代兼載の没後500年祭で講演する筆者=6月6日、猪苗代町

【2009年11月25日付】
 

 

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