知りたい金融用語【M&A(合併と買収)】事業承継対策の一つ

 

 前回説明した「事業承継」の中でM&A(合併と買収)という言葉が出てきました。M&Aは、企業が経営課題解決のために別の企業の株式を買い取って傘下に入れたり、複数の企業が一つの企業に合併することで規模拡大を目指したりする経営手法のことで、企業の大きな経営判断の一つになっています。

 主に大企業のM&Aは海外進出や新規事業分野の開拓、製品やサービスのシェア確保など企業規模拡大に伴うものが多いのですが、新興企業などを除く中小企業では、高齢化した経営者の事業承継の一つの解決策として用いられることが近年、増えています。M&Aの手法は大きく三つ挙げられます。〈1〉「株式譲渡」は企業の株主(中小企業の場合、大半の株式を持つオーナー)が別の企業に株式を譲渡し、譲渡先企業の傘下に入るものです。〈2〉「事業譲渡」は会社自体は譲渡しないものの、会社の一事業のみを譲渡する手法です。

 また〈3〉「合併」は統合される会社の株主の株式数に応じて存続する会社の株式を割り当てる手法でM&Aが行われ、いずれの株主も存続する会社の株主となります。事業承継の場合、株式譲渡によるM&Aが一般的です。

(東邦銀行法人営業部)