【TRY・イナイチ(中)】気分ウキウキ...でも難所はこれから

 
多くの人に愛された「かめ丸」「はくちょう丸」の前で一息つく記者

 美しい猪苗代湖を眺めながらロングライドに挑む今回のトライ。スタートしてからしばらくは「楽」が続いた。普段乗る機会がないスポーツタイプの自転車でさっそうと進む。(郡山総支社・斎藤優樹)

 緊張と不安を抱えて始まったが、心地よい風が湖から吹く。気分も高揚し、鼻歌を奏でる余裕が出てきた。自転車人気が高まっている理由が分かる。

 軽快なリズムでペダルをこぐこと約30分。猪苗代湖北岸のサイクリングロードを抜け、スタートから10キロほど経過した。

 琵琶湖周辺を巡る「ビワイチ」を参考にしたイナイチ。湖周辺の景色を楽しむのが魅力の一つだ。周辺には史跡も多いと聞く。

 「せっかくだから見たい」。楽しみを膨らませていると、民家が目立つようになってきた。そこに、かやぶき屋根が姿を現した。幼いころに見学して以来となる野口英世博士の生家だ。

 当時の記憶と変わらない姿に心も和んでいると、空腹だったことに気付く。「せっかくだ。ここで昼食を食べてひと休みしよう」。自転車を降り、香ばしい匂いを漂わせている食堂ののれんをくぐることにした。体力をつけるためソースカツ丼を注文。甘辛く煮たカツと白米がよく合う。「やっぱり会津はソースカツだな」。ボリュームもあり、おなかも膨れた。

 本来の目的を忘れそうだ。「これから50キロは走破しなくてはいけない」。夕方までにスタートした上戸浜に戻るため、野口英世記念館の見学は断念。記念館の玄関にある野口英世博士像に旅の無事を祈念する。

 観光遊覧船「かめ丸」「はくちょう丸」が見えてきた。残念だが6月に運航を停止したばかりだ。多くの人に愛されてきた猪苗代湖のシンボル。一息つき、再びペダルをこぎ出す。「やっぱり風が気持ちよい」。猪苗代町から会津若松市に入ると、坂が見えてきた。ここからが本番だった。

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 ビワイチ 琵琶湖(滋賀県)の周囲を約190キロを巡るサイクリングコース「ビワイチ」が人気を集めており、年間10万人以上が利用しているという。