【TRY・環境省職員(上)】真夏日の登山...『汗』ビッショリ

 
小野寺さんとスキー場のゲレンデを歩く記者(右)

 磐梯山などを含む磐梯朝日国立公園の周辺で、希少動植物の管理業務を行う環境省職員の仕事にトライするよう命じられた。二つ返事で引き受けたがそもそもどんな業務なのか。内容を知るため裏磐梯に向かった。(若松支社・高崎慎也)

 裏磐梯スキー場(北塩原村)に到着すると、環境省裏磐梯自然保護官事務所で自然保護活動を行うアクティブレンジャー小野寺浩詩(ひろし)さん(52)がトライの内容を伝えてくれた。「登山者数のデータが記録されたカードを交換しに行きましょう」

 カードはゲレンデを登った先。登山道に設置された機器の中にあり、二つのセンサーで自動的に登山者数を数えている。「なぜ、登山者数を把握する必要があるんだろう」

 小野寺さんが答えてくれた。入山者が多い場所は登山道が傷んでいたり、登山者の靴に付いた植物の種が落ちて自然環境が変化したりする可能性があり、環境維持や状況把握に欠かせない作業だ。

 小野寺さんらは3週間に1度の頻度でカードを交換しているという。今回交換するのは2カ所。「1カ所目はあの辺りです」。小野寺さんがゲレンデの中腹を指さしたが、遠すぎてよく見えない。

 登山は約5年ぶりで歩き続けられるのか不安がよぎる。小野寺さんからセンサーの予備バッテリーを渡された。両手に収まるほどの大きさだが、リュックに入れるとずしりと重い。

 しかも気温は30度以上。小野寺さんはすいすい歩くが、記者はそうはいかない。5分ほど歩き続けると、体中から汗が噴き出し、止まらなくなった。バッテリーの重みなのか、体が重いせいなのか。脚が思うように動かない。太ももや腰を手で押さえながら歩を進めた。

 最後は気合と根性だ。30分以上歩き続けると、1カ所目の目的地が見えてきた。裏磐梯噴火口の登山道入り口にたどり着き、呼吸が乱れた記者の横で、小野寺さんは呼吸一つ乱れていない。「すごい」

 慣れた手つきでドライバーを使ってカバーを取り外し、カードを交換した。次は自分だ。うまく作業できるだろうか。不安を抱えながら2カ所目の目的地を目指して歩きだした。

          ◇

 磐梯朝日国立公園 福島、山形、新潟の3県にまたがる。陸域では2番目に大きな国立公園。面積は約18万6400ヘクタール。飯豊連峰、吾妻連峰、磐梯山、猪苗代湖などが含まれる。国立公園に指定されて9月5日で70周年を迎える。