【TRY・発掘調査(中)】タイムスリップ...これで私も縄文人

 
荒木さん(左)と弓を構える記者

 発掘調査の魅力を体感し、大昔の人々の暮らしをもっと知りたくなった。あれこれ考えるより、まずは直接見て、触って、体験するのが大事。福島市岡島にある体験学習施設「じょーもぴあ宮畑」を訪ね、縄文時代にタイムスリップしてみた。(報道部・遠藤真菜)

 施設は縄文時代の「宮畑遺跡」の場所に整備されており、発掘調査で見つかった掘立(ほったて)柱建物や竪穴住居が復元されている。縄文時代の雰囲気はばっちりだ。

 出土品が並ぶ施設内。縄文人の暮らしを解説する展示が充実していた。ちょうど企画展「土偶の世界」が開催中で、全国各地の土偶がひしめいていた。

 出迎えてくれたのは学芸員の荒木隆さん(58)。「この衣装を着て。さっそく外で狩猟を伝授します」。縄文人の衣装を渡され、重ね着した。

 「縄文人は遠くから獲物を狙うため弓矢を使った」と荒木さん。いきなりの弓矢体験。実際に矢を放ち、気分だけは縄文人になった。

 続いては展示品から縄文人の暮らしを教えてもらった。例えば「土偶」。ただの人形と思っていたが、時代で形状が変化する。最初は女性を意識したつくりから始まり、次第に人に近い立体的なポーズへ。

 形状の変遷が縄文人の精神文化を知る手掛かりになるという。何度も「なるほど」とうなずいた。教科書から飛び出す感覚の連続だ。

 荒木さんは「この知識は発掘調査の成果の積み重ねがあってこそ。発掘調査から本当の歴史が見えてくる。逆に言うと常に新しい解釈が生まれる学問でもあるんです」と力を込めた。

 発掘調査での保存や、施設で活用する重要性を知った。荒木さんは「歴史を知ってもらい、未来を考えるヒントにしてもらいたい」と話してくれた。

 意見に賛同しつつ、帰り支度をしていたら、荒木さんから「『整理作業』はやった? 発掘調査には欠かせないよ」と一言。整理作業とは一体なんだ。

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 じょーもぴあ宮畑 縄文時代中期から晩期までの「国史跡宮畑遺跡」を整備した施設。2015年8月に全面オープンした。施設では企画展「世界の土偶」を12月14日まで開催中。国重要文化財の「しゃがむ土偶」の実物、「縄文のビーナス」「仮面の女神」などの国宝土偶のレプリカが展示されている。観覧料は大人200円、高校生以下100円。未就学児無料。休館日は毎週火曜日。問い合わせは同施設(電話024・573・0015)へ。