【TRY・eスポーツ(上)】戦いは画面の中で

 
小林さん(右)から「伝説対決」の操作方法を教わる記者。最初はゲームの仲間や対戦相手が見つからず苦労した

 コンピューターゲームの腕前を競う「eスポーツ」のプロチームが白河市で発足すると聞き、居ても立ってもいられなくなった。毎晩のようにゲームでリフレッシュしている記者にとっては憧れの存在。早速、発足するeスポーツチーム「→XeSports(エクストイースポーツ)」の拠点となる同市のゲームハウスを訪ねた。
(白河支社・伊藤大樹)

 ドアを開けると、そこには多数のモニター。まさにゲーム基地だ。「この部屋でゲームをプレーする様子などを(インターネットで)配信したりするんです」。チームを運営する小林翔太郎さん(38)が教えてくれた。

 配信される動画は実況付き。eスポーツはゲームをプレーして楽しむだけではなく、見て楽しむ人も多い。動画では視聴回数などに応じて広告費が分配されるため、その収入だけで生活する人もいるという。

一獲千金夢見て弟子入り

 プロたちは主に大会賞金と、スポンサーからの支援金で生計を立てているという。「伝説対決 Arena of Valor(アリーナ・オブ・ヴァラー)」というゲームの大会賞金額は5500万円だったらしい。立派な家が建ってしまう金額じゃないか。驚きから黙ってしまった。

 今回挑戦するゲームは、一獲千金の夢が広がる伝説対決に決めた。据え置きのゲーム機や何十万円もする専用機でやると想像していたが、伝説対決はインターネットでつながってさえいれば、スマートフォンでプレーできてしまうという。

 伝説対決の日本選手権で解説を務めたこともある小林さんに、「教えてほしい」と弟子入りを直訴し、快諾してもらった。早速、ゲームのアプリをダウンロードし、操作方法などを教わる。

 伝説対決のルールはこうだ。1チーム5人でさまざまなキャラクターを使い、相手陣地のタワーを攻撃。5人で協力して相手のタワーを順番に破壊し、陣地最深部のタワーを破壊したチームが勝つ。

 実際にアプリを起動してゲームを始めるものの、2人だけではプレーできない。伝説対決はMOBA(マルチプレーヤー・オンライン・バトル・アリーナ)と呼ばれるジャンルに分類される。仲間や対戦相手を集めなくてはならないのだ。

 この日は平日の午後3時。参加者が集まらない。学校や仕事などが終わり、午後8時ごろから参加する人が多いからだ。参加者が少なかったため、残念ながら一時撤退となった。時間をあらためて小林さんと合流。ゲーム再開した。夜だったため、何とか仲間や対戦相手が見つかった。自分が使うキャラクターを選択すると、「全軍出撃」というアナウンスとともに試合が始まった。

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 MOBA(マルチプレーヤー・オンライン・バトル・アリーナ) 数人のプレーヤーが2チームに分かれて、キャラクターを操作し、味方と協力しながら敵チームと対戦するゲームのジャンル。日本での愛好者は少ないが、海外では多くのファンがおり、約1億人の愛好者がいるゲームもあるとされる。