【TRY・ブンケン歩いてゴミ拾いの旅(上)】拾うのは...「希望のカケラ」

 
ブンケンさん(右)とともに、ごみ拾いの旅に出発する記者(中央)と高橋営業部員

 福島中央テレビの番組「ゴジてれChu!」の人気コーナー「ブンケン歩いてゴミ拾いの旅」にトライした。県内を歩きながらごみを拾って旅するブンケンこと、郡山市出身の俳優鈴木文健さん(31)に同行し、国道49号沿いの環境美化の旅に出発した。(報道部・熊田紗妃)

 行程は郡山市の磐梯熱海温泉近くにある熱海トンネルからJR安子ケ島駅までの約6キロ。まずは出発前にストレッチで体をほぐす。ブンケンさんから意気込みを問われ、「頑張ります!」と気合を入れた。力作業には人手がいる。パートナーとして入社同期の高橋汐紀(せしる)営業部員(22)と一緒に参加した。

 実は高橋営業部員は高校の同級生。安積黎明高の野球部では、記者がマネジャー、高橋営業部員が選手として共に白球を追った仲。道路でのごみ拾いは朝練で取り組んだ「環境整備」以来、約5年ぶりだった。この日は会社を代表する気持ちを込めて"民友法被"を着用。「希望のカケラを拾うぞ!」の合言葉でごみ拾いが始まった。

 歩き始めると、「そこまでごみは多くないだろう」との甘い考えは一瞬で覆された。スタート直後から空き缶や車の部品のごみが湧くように出てくる。「車の窓から全く見えなかったのに」。道路脇の茂みから次々と見つかるごみの多さに驚かされる。

 全長約1.3キロの熱海トンネルに入り、暗闇の中で黙々とごみを拾う。すぐ脇をヘッドライトをつけた車が通り過ぎる。先の見えない長いトンネルを歩くと、だんだん無心になっていた。ごみ袋が重く、暑さも加わって気付けば汗ばんでいて、高橋営業部員に至っては、汗が滴り落ちていた。

 トンネルを抜けてようやく一息。それにしてもブンケンさんは見事なトングさばきだ。次々とごみを拾っていく。「今回のごみの量はどうですか」と尋ねると、ブンケンさんからは「普通ですね」の答えが返ってきた。「これで普通か...」と悲しい気持ちになった。直後にさらに心が折れる出来事が起きた。尿入りペットボトルとの遭遇だった。

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 ブンケン歩いてゴミ拾いの旅 放送開始は2020年1月。いわき市の海岸をスタートし、今月上旬の放送分までに歩いた距離は約1280キロ、拾ったごみの総重量は約6.7トンに上る。福島中央テレビ制作担当部長の皆川実成さん(52)が「福島に貢献できるコーナーにしよう」と企画を思い付き、ブンケンさんを主役に据えた。ドライバーの鈴木政敏さん(46)との掛け合いも魅力だ。